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図形や線を描画する


図2 図形や線の描画などを行えるツール・バー
画面左のツール・バーではどのような図形,線を描画するかを選択する。

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写真3 図形や線の描画例
右のツール・バーを利用して図形や線を描画した。表示されているのは,四角(青),角を丸くした四角(緑),丸(赤),一部を切り取った丸(茶),星(黄色),多角形(オレンジ),らせん(左下),自由線(Free),ベジエ曲線(M),カリグラフィ(kali)。

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写真4 塗り込みや線種を指定する「Fill and Stroke」
面を塗る手法や,線の色,線種などを設定する。

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写真5 色の塗りつぶし
写真4にあるAを0に近づけると塗りつぶす色が透明になっていく。写真では緑の透明度が50%となっているため下地の赤が透けて見えている。

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写真6 グラデーションの編集
グラデーションの色指定は「Gradient editor」で設定する。選択リストにある各stopごとに色を指定すればよい。

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写真7 グラデーションの例
上から,一方向のグラデーション,放射状のグラデーション,一方向のグラデーションに虹色の効果を施したもの,を示す。

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写真8 線の色の指定
「Fill and Stroke」ウインドウの「Stroke paint」で線の色を設定できる。グラデーション効果を付けた線を作ることも可能だ。

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写真9 線種の設定
「Fill and Stroke」ウインドウの「Stroke style」で線種や太さなどを指定できる。また線の末端や中間に描画するマークなどを設定可能だ。

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写真10 線の描画例
左から線の末端に矢印を付けた例,点線で描画した例,星のわく線をグラデーションで塗った例,ベジエ曲線を太くした例,線の末端に「Torso」と「Legs」を指定した例である。

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写真11 ハンドルを利用してオブジェクトを操作した例
オブジェクトの隅に表示される矢印(ハンドル)をドラッグすることで,オブジェクトを拡大,縮小,回転でき,傾ける操作も施せる。写真は四角形を縦横に傾けた例。

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図3 ベジエ曲線の構成
ベジエ曲線ではノードと呼ばれる点をセグメントと呼ぶ線で結んで曲線を描画する。セグメントは必ず方向線に接するように曲線を描く。

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 Inkscapeで図形を描くには画面左にあるツール・バーから必要なアイコンを選ぶ必要がある(図2[拡大表示])。それぞれの図形描画ツールでは画面上方のツール・バーから詳細設定を施すことで,描画する図形をさらに細かく設定できる(写真3[拡大表示])。

 画面左のツール・バーから,を選ぶと,四角形を描画できる。拡張機能では四角形の角を丸める設定を選択できる。を選ぶと,円やだ円を描ける。始点と終点の角度を指定すると,一部が欠けた円も作成できる。は,星形を描くために用いる。設定の「coners」を変更すれば星の腕の数を変えられる。「Polygon」にチェックを入れると,五角形,六角形といった多角形を描ける。

 曲線の描画も簡単だ。ではらせんを,では,自由な曲線を作れる。を選択すれば,後ほど解説するベジエ曲線も描画できる。

 特徴的なのは,だろう。羽根ペンで書き込んだような効果が現れる。太さや角度などを細かく指定できるのでいろいろと試してみよう。

面をデザインする

 ドロー・ソフトでは常に線を利用して図形を描く。図形の内部を塗りつぶしたい場合は,線に囲まれた領域を作ればよい。

 Inkscapeでも同様だ。線に囲まれた範囲を塗り込んで図形を描く。塗りつぶしを設定するのが「Fill and Stroke」だ。

 早速,触ってみよう。まず,メニューの[Object]-[Fill and Stroke]を選択し,ウインドウを開く(写真4[拡大表示])。このウインドウ上で塗りつぶしの設定を施す。

 塗りつぶしたいオブジェクトをツール・バー上ので選択してから,「Fill and Stroke」ウインドウの「Fill」タブの内容を調節する。まず,上部にあるボタンで塗りつぶし方法を選ぼう。 は塗りつぶさない,は一面に同じ色で塗りつぶす,は一方向のグラデーションで塗りつぶす,は放射状のグラデーションで塗りつぶす,は何らかのパターンで塗りつぶす指定である。

 一面に同じ色で塗りつぶす場合は,ウインドウ中央にある「Flat Color」で塗る色を指定する。RGB(レッド,グリーン,ブルー),HSL(色相,彩度,明度),CMYK(シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック)や色相環を用いた色の指定が可能だ。各画面の下にある「A」は透明度を表し,0に近くなるほど透明になる(写真5[拡大表示])。

 グラデーションの方向も指定できる。図2のツール・バーからを選べばよい。その後,「Fill and Stroke」ウインドウで「Linear gradient」の[Edit]ボタンをクリックする。すると,グラデーションの作成ウインドウが現れる(写真6[拡大表示])。ここではグラデーションの両端(stop)の色を選択する。

 まず選択リストの「Stop0000」*4に色を指定しよう。これが始点の色になる。下のStop Colorから色を選ぶと,選択リストの色も変化する。次に,選択リストから,表示されているstopとは異なるものを選択して,終点の色を選択する。これで,グラデーションの色が変更できた。「Add stop」ボタンをクリックすると,新たなstopを作成できる。複数のstopを設定すれば虹色のようなグラデーションが描ける(写真7[拡大表示])。

線をデザインする

 線の太さや色などを指定するには,面の塗りつぶしと同様,「Fill and Stroke」ウインドウを使う。

 線の色は「Stroke paint」タブをクリックして選択する(写真8[拡大表示])。線についてもグラデーションやパターンを用いた描画が可能だ。

 線の太さは[Stroke style]タブをクリックし「Width」で指定する(写真9[拡大表示])。また,「Dashes」では点線などの線種を選択できる。「Start Makers」,「Mid Makers」,「End Makers」では矢印などの付属記号を指定可能だ(写真10[拡大表示])。

移動,リサイズ,回転

 オブジェクト(図形)を移動するにはどうしたらよいのだろうか。他のグラフィックス・アプリケーションと同じように,左のツール・バーにあるを選択すれば,オブジェクトのドラッグ・アンド・ドロップが可能になる。サイズを変更するにはオブジェクトの隅に表示されている矢印(ハンドル)をドラッグすればよい。

 オブジェクトをもう一度クリックすると矢印が変化する。この状態でをドラッグすれば画像が回転し,などをドラッグすれば画面の奥行き方向にオブジェクトが傾く(写真11[拡大表示])。

 2つ以上のオブジェクトを選択したい場合は,[Shift]キーを押しながら選択を続ければよい。複数のオブジェクトを1つにまとめるグループ化も利用できる。まとめたいオブジェクトを選択してからメニューの[Object]-[Group]を選択する。逆に,グループ化を止めたい場合には,メニューの[Object]-[Ungroup]を選択する。

ベジエ曲線を操作する

 ドロー・ソフトではベジエ曲線(パス)を使って線や面を描くことができる。ベジエ曲線は,ノードと呼ばれる制御点とノードに設定された方向線で形成される滑らかな曲線だ。ノードと方向線によって,セグメントと呼ばれる曲線が描かれる(図3[拡大表示])。セグメントは必ず方向線に接するように描かれるため,方向線を操作することで滑らかな曲線や比較的とがった線など多彩な曲線を描ける。

 ベジエ曲線を操作するには右のツール・バーにあるを利用する。まず,パスのノードを選択すると方向線が表示される。次にノードをドラッグしてその位置を指定,さらに方向線をドラッグしながら線の形を調節する。

 方向線が表示されない場合は,上のツール・バーに表示されるボタンを押せばよい。


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