![]() ![]() ハウス食品でSCM部長兼情報システム部長を務める早川哲志上席執行役員 |
2004年4月に、5億円をかけたSCM(サプライチェーン・マネジメント)システム構築プロジェクトを主導した上席執行役員SCM部長の早川哲志氏。同氏はもともと物流のスペシャリストだ。自ら積極的に物流システムの構築に乗り出し、情報システム部門との社内調整に奔走していたところ、その姿が経営層の目に留まり、情報システム部長を兼任するまでになった。
SCMシステムの導入後、通常出荷のために用意していた0.9カ月分の「基準在庫」を、1年後の2005年4月には0.6カ月分まで減らしてみせた。5億円の投資を回収できる効果が出たという。
さらに1年が経過した2006年4月現在、0.6カ月の基準在庫で安定的に業務を回せるようになった。2006年度以降の目標として、基準在庫の最終目標である0.5カ月分の達成を目指す。
2004年に2%ほどあった欠品率も、今は1%台まで落ちた。在庫が減っただけでなく、欠品も減ったのだ。品切れが減ったことで、卸業者からの評価も高まった。ただし欠品率の目標は0%台。こちらも2006年度の課題だ。
SCM部の仕事は、これまで社内では「製販調整」と思われていたし、SCM部自身もそう思っていた。しかしこれからは、SCM部から生産や販売に「社内全体のSCMから見たデザイン」を提案していかなければならないと、早川氏は考えている。
Profile of CIO
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・とにかく現場の声を伝えることです。実際に作業をしている人、実務をこなしている人の声を伝えるようにしています。というのも、会社でおかしなことが起きていると、その一端が現場に象徴的な出来事となって出てくることが多いからです。
私自身もそうですが、立場が上になってくると、どうしても人からの「また聞き」の話が多くなります。だから私はできるだけ自分の足で現場に行くようにしています。私の場合、SCM部と情報システム部を兼任していますが、東京にあるSCM部と大阪にある情報システム部を毎週行ったり来たりしています。電話や電子メールも使いますが、やはり直接会って話すのが一番です
◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・ITベンダーは基本的に自社の商品の売り込みばかりで、当社の話をしっかり聞いていただけないことがよくあります。まずは我々の要望をよく聞いてほしいです。
そう言うと、逆にITベンダーからは「もっと話をしてください」と言われるかもしれませんが、私にしてみれば「もっと我々から要求を引き出してほしい」のです。いつもそう思っています。話を聞く前に、「我々の会社はこんなことができます」とか「こんなシステムはどうでしょう」と大きな話を持ってこられても、前には進みません
◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞。現在紙面で連載中である堺屋太一氏の小説「世界を創った男チンギス・ハン」はお気に入り
◆最近読んだ本
・東野圭吾の「白夜行」や リリー・フランキーの「東京タワー」といった流行の本も読んでいるが、好きで何度も読み返しているのは松本清張の「昭和史発掘」といった昭和の歴史を扱った書物。昭和史を読むと「組織が崩壊していく様」がよく分かる
◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・NECなどのITベンダーが発行しているメールマガジンの表題を見て、関心がある記事だけをWebサイトで読んでいる
◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・日本ロジスティクスシステム協会のセミナー
・GCI(グローバル・コマース・イニシアティブ)の勉強会
◆ストレス解消法
・カラオケなどで歌を歌うこと
・10年以上前からやっている数字パズル