イスラエルのE-Lockという企業が，新しいタイプのドア・ロックを提供している。音声に反応するのだ。鍵を持ち歩く代わりに，一連のノック音を出す小さな装置を使う。その装置をドアに押し当てるだけで解錠できる。ドアには鍵穴がない。この「KnocKey」という名前の装置にはキーパッドがあり，操作する前に暗証番号の入力を要求するようにも設定できる。そうすればさらに安全性が高まる。
賢いアイデアではあるが，セキュリティに関するお決まりの誇大表現がみられる。「ドアに鍵穴や接点がないため，この独特な仕組みは既存技術よりもはるかに高いレベルのセキュリティを実現する」
正確に言えば，「この鍵に存在するセキュリティの弱点は既存技術と違う」ということだ。現在使われている鍵の弱点はよく知られているのに対し，E-Lock社のシステムに関するセキュリティはほとんど知られていない。「知られていないこと」と「セキュリティが高いこと」を混同してはいけない。
＜http://www.elock.co.il/tech-english.asp ＞
Copyright (c) 2006 by Bruce Schneier.
◆オリジナル記事「New Kind of Door Lock」
◆「CRYPTO-GRAM April 15, 2006」
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO（最高技術責任者）です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり，国内ではインテックと提携し，監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。
