インターネットが普及した今でも仕事用の情報収集には雑誌や書籍を利用するという人は多い。最近ではAmazonやFujisanなどのオンライン書店のデータベースを利用すれば,見出しや目次から目的の雑誌や書籍を探し出せるようになったが,そういったサイトの検索機能はいま一つ不十分で,なかなか探している本が見つからないことも多い。

 そこでオススメしたいのが,Googleの高度な検索機能を使ってオンライン書店の書籍・雑誌データベースを検索するテクニックだ。

Amazonの検索機能は貧弱,そんなときこそGoogleを活用しよう

 オンライン書籍購入でもっとも広く利用されているサイトはAmazon.co.jp。最近のAmazonは,書籍だけでなく,一部雑誌なども取り扱うようになっており,書店に行かずに本を入手したいと人にとって非常に便利な存在となっている。

 しかしAmazonの検索機能は貧弱で,目次の内容や本の紹介文などを含めて検索することができない。2005年秋に書籍の内容を全文検索できる「なか見検索」というサービスがスタートし,特定のキーワードから書籍を探すことができるようになったが,すべての書籍でこの「なか見検索」機能が利用できるわけでないため,まだまだ有用性は薄い。

 また検索のやり方に融通がきかないのも使いづらいところだ。例えばウェブ技術の「PHP」を学べる書籍を探そうと思って,Amazonで「PHP」というキーワードで検索すると,「PHP研究所」という出版社が出している「生き方系」の本ばかりヒットしてしまう。

 こんなときは複雑な検索が行えるGoogleでAmazonの書籍データベースを検索するのがオススメだ。ウェブ技術に関するPHPの書籍は欲しいが,PHP研究所が出している書籍はいらない。この場合はGoogleで,「PHPは含むがPHP研究所というフレーズが含まれる結果は除外する」という条件で検索対象とするサイトを「Amazon.co.jp」に絞って検索すればいい。これを具体的な検索式にすると「PHP -"PHP研究所" site:amazon.co.jp」となる。Amazonで普通に「PHP」で検索したときと比べて,的確にウェブ技術のPHPに関連する書籍だけをピックアップすることができた。

 Googleを使ってAmazonの書籍データベースを検索するメリットはほかにもある。目次の内容や紹介文,ユーザーレビューなどを含めて「全文検索」できることだ。例えば投稿されたユーザーレビューに絞って全文検索で本を探したい場合は,ユーザーレビューを開いたときに含まれる文字列「customer-reviews」を特殊構文の「inurl:」で指定して検索すればいい。例えばユーザーレビューで「ビジネスモデルの構築」という一文を含む商品を検索したい場合,「ビジネスモデルの構築 inurl:customer-reviews site:amazon.co.jp」というように検索すればOKだ。

AND検索やNOT検索でより目的に合った書籍や雑誌を探し出す

 ビジネスの参考資料に雑誌を購入することも多いが,「雑誌」をネットで購入する場合,Amazonではなく「Fujisan.co.jp」というサイトがオススメ。日本で発行されている2200以上の雑誌を見出しから検索して,購入・定期購読ができる。

 ただ,Fujisanのキーワード検索機能もAmazonと同様に貧弱で,基本的にAND検索しかできない。例えばFujisanで消費者関連の情報を探して「消費者」で検索すると,飲食店経営や養豚,牛乳といった専門雑誌などもヒットしてしまうのだ。

 これもGoogleの高度な検索機能で解決できる。Googleの「NOT検索」を使うことで,分野を絞り込んで検索ができるのだ。「消費者 -経営 site:fujisan.co.jp」と検索することで,経営系の雑誌を省いて見出しに「消費者」を含む雑誌だけをピックアップしてくれる。もちろんNOT検索だけでなく,次のようなOR検索も可能だ。「YouTube OR Google Video OR 動画共有 site:fujisan.co.jp」のように検索キーワードを「OR」で並べていけば,さまざまなキーワードで雑誌を検索できる。

 もちろんここで紹介した検索テクニックは,書籍や雑誌を探す以外にも活用できる。例えば,欲しい商品を扱っているショッピングサイトの検索機能が充実していない場合は,同じようにGoogleの特殊構文を使ってそのサイトに絞り込んで検索を行うと,さまざまな条件で目的のものを探すことができる。仕事以外のさまざまシーンで活用できるので,覚えておいて損はないテクニックと言えるだろう。

■津田 大介 (つだ だいすけ)

【略歴】
1973年東京都生まれ。週刊誌,インターネット誌,ビジネス誌,音楽誌などを中心に幅広いジャンルで執筆。ここ数年はネットカルチャーやネットワーク時代の音楽の在り方について多くの原稿を寄稿。主な著書は,目的別にGoogleの活用法を解説した『ググる』,ネット通販サイト「Amazon」の活用法を解説した『アマゾる』(両書とも毎日コミュニケーションズ刊)など。

【関連URL】
音楽配信を中心としたデジタルコンテンツ流通,著作権問題などの関連ニュースを集めた情報サイト「音楽配信メモ」(http://xtc.bz/)も運営している。