■埼玉県戸田市は、2004年2月から戸田市立図書館など市内4カ所で公衆無線LANサービス「e-Todaスポット」を提供している。ノートパソコンを持参し、無線LANカードを借りることで、市民はインターネットのWebサイトを無料で閲覧できる。同時に市民向け端末も市内17カ所に設置し、インターネットへのアクセス環境を提供している。(安藏靖志=フリーライター)

※ この記事は『日経BPガバメントテクノロジー』第11号(2006年4月1日発行)に掲載されたものです。


埼玉県戸田市

 庁舎や図書館など公共施設で無線LANのアクセスポイントを設置し、市民がインターネットにアクセスできるサービスを導入する自治体が増えている。ここ数年、空港や駅、ホテルなどで導入が進む「公衆無線 LANサービス」と呼ばれるサービスと同様のものだ。

 自治体が導入する「公衆無線LANサービス」には、民間のインターネットサービス企業のアクセスポイントを公共施設に誘致して、その企業とサービス契約している利用者だけがインターネットにアクセスできるようにするというケースもある。

 だが、埼玉県戸田市の「e-Todaスポット」の場合は、市のインターネット基盤にアクセスし無料で一般のWebサイトを閲覧できるようにしている(注1)。戸田市在住および在勤の市民向けに、戸田市立図書館や戸田市文化会館、笹目コミュニティセンター、福祉青少年会館の4カ所でサービスを提供しているものだ。

(注1)岐阜県恵那市岩村町地区のように市が通信事業者となり有料で無線LANによるネット接続を地域に提供している例もある。海外では米国サンフランシスコ市のように、市内全域で公衆無線LANサービスを無料提供しようという動きもある。

 戸田市が「e-Todaスポット」を開始したのは2004年2月。今や“安定稼働”している「e-Todaスポット」について、今回は運用面を中心にレポートしてみよう。

 e-Todaスポットのサービスの概要はこうだ。利用者は図書館など4カ所のサービス提供施設にノートパソコン(利用できるOSはWindows2000、Me、XP)を持参し、利用申込書に名前や住所、電話番号を記入する。身分証明書を提示して本人確認をした後、利用規定の説明を受けて無線LANカードや無線LANドライバーCD、ユーザーID・パスワード、設定手順書の貸し出しを受け、1回につき2時間まで利用できる。無線LANカードは1拠点あたり10枚用意しており、ユーザーIDとパスワードはカードごとに設定されている。利用登録は毎回行う必要があるが、ドライバーソフトは最初に1回インストールすれば、次回からはユーザーID・パスワードを設定したLANカードを借りるだけで利用できる。利用時間は1回2時間程度としている。

■写真 市民が無料でインターネットにアクセスできる
 戸田市立図書館
「e-Todaスポット」利用スペース。 2階に設置されているインターネットパソコン。
「e-Todaスポット」利用スペース。 2階に設置されているインターネットパソコン。
「e-Todaスポット」利用時には、利用規定/設定マニュアル、ドライバーCD、無線LANカードが貸し出される。 無線LANのアクセスポイントは天井付近に設置されている。
「e-Todaスポット」利用時には、利用規定/設定マニュアル、ドライバーCD、無線LANカードが貸し出される。 無線LANのアクセスポイントは天井付近に設置されている。