若手部員 宇田くん
  10Mイーサネットの伝送速度は10Mビット/秒だよね。それなのに,LANスイッチのカタログには,「全2重伝送モードで20Mビット/秒を実現」と書いてあるんだ。  

若手部員 貴子さん
  伝送速度は10Mビット/秒のはずよ。でも全2重伝送モードって,どうなっているのかしら。もしかしたら,もっと速くなるのかも・・・。実験で確かめてみましょう。  


宇田:10Mイーサネットの10BASE-T(テンベースティー)って,最大伝送速度は10Mビット/秒だよね。

貴子:そうよ。当たり前でしょ。

宇田:でも,このLANスイッチ(スイッチング・ハブ)のカタログには「全2重伝送モードで20Mビット/秒を実現」と書いてあるんだ。

貴子:あら,本当だわ。そういえば,私もそれに似たカタログを見たことがあるわ。10BASE-Tよりも2倍速くデータを伝送できるのかしら。

宇田:数字だけを見ると,そんな気がするね。本当に速いのか実験で試してみようよ。

カタログに記載されていたりする

 LANスイッチのカタログや説明書には,「全2重モードでは,20Mビット/秒の通信ができます」というような記載があったりする。10Mイーサネットの10BASE-Tの伝送速度は,10Mビット/秒のはず。全2重伝送モードの場合は,本当に2倍の20Mビット/秒になるのだろうか。

 そこで今号の実験では,半2重伝送モードの場合と全2重伝送モードの場合で,実効速度がどのように変化するかを実験で検証していくことにする。半2重と全2重の違いといったしくみは後回しにして,まずは実験をやってみよう。実験は,LANスイッチに接続した2台のパソコン間で10Mバイトのファイルをコピーする時間を計測する。

PC側の設定で伝送モードを設定

貴子:どんな実験をするの?

宇田:パソコンを2台用意して,それらをLANスイッチにつなぐんだ。それから,半2重モードで10Mバイトのファイルをコピーする時間を測ってみようよ。そして,全2重モードでも同じテストをやってコピー時間を比較するんだ(図1)。

貴子:半2重と全2重のモードを切り替えるにはどうするの?

宇田:LANスイッチ側で切り替えることができればいいんだけれど,実験で使う機種は設定できないタイプみたいだ。だから,パソコン側のLANカードの設定で切り替えよう。

図1 伝送モードを切り替えてファイルのコピー時間を計測する
パソコンに装着したLANカードの設定を変更することで伝送モードを切り替え,その違いによって10Mバイトのファイルをコピーする時間が変わるかを調べる。

 LANスイッチの中には,各ポートの速度や伝送モードを個別に設定ができるものもある。しかし,パソコン・ショップなどで売られている低価格なLANスイッチは,各ポートにつながる機器の速度と伝送モードを自動的に認識して合わせるようになっているものが多い。今回の実験で使用するLANスイッチも,こうしたタイプである。  そこで,パソコンのLANカードの設定で,半2重と全2重の伝送モードを設定してテストした図2がLANカードの設定画面の例である。

図2 パソコンのLANカードの設定で半2重伝送モードを全2重伝送モードを切り替える
WindowsのLANカードのプロパティ設定画面には図のような設定項目がある。これで伝送モードを切り替えることができる