若手部員 宇田くん
  以前使っていた10メガ用のLANケーブルがたくさんあまっているんだ。どのLANケーブルも見た目はほとんど同じなんだから,100メガや1ギガのイーサネットにも使えないかな。  

若手部員 貴子さん
  もしかしたら,古いケーブルも使えるのかしら。でも,規格に合ったケーブルを使わなければダメだと聞いたことがあるわ。実験で確かめてみましょうよ。  


貴子:ずいぶん古そうなLANケーブルがいっぱいあるわね。何をしているの?

宇田:使っていないLANケーブルを整理していたんだ。使えそうなものがけっこうあるんだよ。

貴子:LANケーブルには規格があって,LANのスピードによっては使えない場合があるはずよ。あまり古いものは,使えないんじゃないかしら。

宇田:そうか。でも,もったいないな。

貴子:使えないケーブルを残しておいても仕方がないから,調べてみましょうよ。

宇田:そうだね。

速度によって使えるケーブルが違う


写真1 LANケーブルにはいろんなものがある
LAN用のより対線といっても,特性の違うケーブルが何種類もある。見た目だけでは判別しにくいが,カテゴリ3,5,6などのケーブルがある。
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 今回は,本来なら使えない規格外のLANケーブル(より対線ケーブル)を使ってみる実験だ。

 オフィスや家庭で使うイーサネット規格には,伝送速度が10Mビット/秒の10BASE-T(テンベースティー),100Mビット/秒の100BASE-TX(ヒャクベースティーエックス),1Gビット/秒の1000BASE-T(センベースティー)などがある。

 一方,LANケーブルにもカテゴリと呼ばれる規格がある。イーサネットで使うケーブルは,カテゴリ3,カテゴリ5,カテゴリ6などがあり(写真1),電気信号の減衰の度合いなどの条件が決まっている。各カテゴリは,数が大きくなるほど電気特性が上がり,高い周波数の信号を伝えることができる。つまり,カテゴリの数が大きいほど高速伝送が可能なケーブルなのだ。

カテゴリ3は10メガ専用

 イーサネット規格と照らし合わせると,表1のように伝送速度によって利用できるケーブルが異なっている。例えば,カテゴリ3ケーブルは10BASE-Tだけだが,カテゴリ5eより上位のカテゴリ6ケーブルなら10BASE-T,100BASE-TX,1000BASE-Tのどれでも利用できる。

表1 イーサネット規格と対応ケーブルの関係
より対線ケーブルを使うイーサネットは,その伝送速度によって対応しているケーブルが異なる。

貴子:ここにあるケーブルの大半は,カテゴリ3っていう規格のものみたいよ。10BASE-Tでしか使えないわよ。

宇田:それじゃあ,あまり使い道はないね。でも,10BASE-Tを使っていた会社は,100BASE-TXや1000BASE-Tに移行するためにケーブルも敷設し直す必要が出てくるね。けっこう大がかりになるよ。絶対にカテゴリ3ケーブルは使えないのかな。

貴子:使えそうな気もするけれど,それってオキテ破りでしょう。

宇田:たしかに実際のネットワーク構築場面でそんなことをしたらダメだけれど,試してみる価値はあると思うよ。

貴子:それもそうね。実験で確かめてみましょう。