読者の中には、ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)という名前を聞いたことがある方も多いだろう。
昨年95歳で亡くなったドラッカー氏は、企業の経営(マネジメント)を中心に、多岐にわたるテーマで膨大な著作を残した“社会生態学者”である。氏の論考には、情報システムのあり方を考えるうえで重要な示唆に富んだものが数多く含まれていることから、一般の企業経営者だけでなく、IT関係者にも“ファン”が多い。
「不思議なことに、 誰もがドラッカーは自分のために書いてくれたと思います。 5年経ったらまたそのとき、自分のために書いてくれたと思います。 ドラッカー・ファンが10人寄れば、それぞれが別のドラッカーをもっていることを知ります。(後略)」
これは、そうした根強いドラッカー・ファン(“ドラッカリアン”と呼ぶ)で構成される「ドラッカー学会」のWebサイトで、ものつくり大学名誉教授の上田惇生氏が述べている挨拶文である。「ドラッカーって、もう流行(はや)っていないのでは?」と思っていた読者もいるかもしれないが、決してそうではないのだ。
ここで、ドラッカー学会に所属するIT関係者有志から成る「ドラッカーのIT経営論研究グループ」が、ドラッカー氏の情報およびITに関する論考を読み解くことを目的に文章を書き続けているサイトをご紹介したい。
そのサイトは「経営とIT新潮流2006」と呼ぶ。同グループはこのサイトで、「新潮流を読む:ドラッカーのIT経営論」と題した連載を担当しており、これまでに8本の記事(下記に一覧)を掲載した。
これらの文章に触れることで、日々のシステム開発作業や新技術の習得に追われているエンジニアの方々が、経営とITの関わりについて考えてみるきっかけになれば幸いである。さらに興味を持たれた方は、ぜひドラッカー氏の著書をひもとくことをお勧めしたい。
新潮流を読む「ドラッカーのIT経営論」
■第6回 インターネットは使わない、電話なら5分で情報を入手できる