写真1 ワープロ・ソフト「Writer」
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写真2 表計算ソフト「Calc」
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写真3 プレゼンテーション・ソフト「Impress」
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写真4 OpenOffice.orgのファイルの種類画面
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写真5 写真4では赤枠の部分をオフのままにしておく
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写真6 3種類のツールバーが表示されている
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写真7 新規作成ボタンの脇にある▼ボタンを押したところ
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 OpenOffice.org(オープンオフィス・ドット・オルグ)をご存じだろうか。この記事の読者であれば,名前は聞いていると思う。
 エッ,もう使ってる? ありがとう。でも「無料で入手できるMicrosoft Office互換ツール」ととらえていないだろうか。
 確かにOpenOffice.orgは,Microsoft Officeと高い互換性を誇るが,単なるクローンを目指してはいない。真似だけでは,Microsoft Officeを越えられないからだ。OpenOffice.orgはそれ以上の使い勝手と可能性を持つ。

OpenOffice.orgの特徴

 OpenOffice.orgは,オープンソースで開発されている統合オフィス・ソフトであり,Microsoft Officeと高い互換性を持つ。ワープロや表計算,プレゼンテーションといったオフィスワークでよく使うアプリケーションを統合したソフトウエアだ(写真1写真2写真3)。2005年4月時点の最新バージョンは2.0.2である。
 OpenOffice.orgは,Windowsだけでなく,LinuxやSolaris,FreeBSDといったUNIX系OSでも動作する。Mac OS X版も存在する。ただし,最新版は日本語入力やメニューバーに問題があることから,1つ前のバージョンを基にした派生ソフトウエア「NeoOffice 1.2」をお薦めしている。
 本連載の執筆に際しては,ノベルが発売するLinuxディストリビューションの1つである「Novell Linux Desktop」を用いた。ウインドウ・マネージャはGNOMEである。他のLinuxディストリビューション,ウインドウ・マネージャを使った場合はもちろん,Windowsで使う場合も操作はほぼ同じだ。

OpenOffice.orgのインストール

 OpenOffice.orgは,OpenOffice.org日本ユーザー会のダウンロード・ページなどのWebサイト上で公開されており,無償でダウンロードできる。最初から付属しているLinuxディストリビューションも多い。ただしバージョンが最新でないこともあるため,ダウンロードページで確認してほしい。
 インストール手順は,ユーザー会のダウンロード・ページを参照してほしい。インストール時に注意する点は少ないものの,Linuxにインストールするにはrpmファイルを扱えるツール(ソフトウエア)が必要になる。ダウンロードしたtar.gz形式のファイルを展開すると,rpm形式のファイルが生成されるからだ。
 Linuxディストリビューションによっては,インストール後,スタート・メニューなどにOpenOffice.orgが追加されない場合がある。インストール前に,特定のLinuxディストリビューションにおいて不要なインストール・ファイルを削除するか,手動で登録する。前述のインストール手順ページには,各Linuxディストリビューションごとのインストール手順を掲載しているので,参考になる。
 OpenOffice.orgをWindowsにインストールする場合は,Microsoft Officeの関連付けを変更しないよう気を付けよう。
 インストール時には,次のダイアログが表示される。この画面で「Microsoft Officeのファイルを開きたい」とチェックボックスをオンにすると,ファイルの関連付けが変更されて,アイコンが変わってしまう(写真4写真5)。
 この設定をオンにしなくても,OpenOffice.orgでMicrosoft Officeファイルを開ける。

OpenOffice.orgを起動する

 インストールが完了したら,OpenOffice.orgを起動してみよう。Linuxのスタート・メニューに登録されない場合,/opt/openoffice.org2.0/programディレクトリのswriter.shといったシェル・スクリプトを起動する。
 OpenOffice.orgの最初の起動時にはユーザー情報を作成するウィザードが表示される。指示に従って,必要な情報を入力する。ただし,「ユーザー登録」しなくてもOpenOffice.orgを使用できる。

ツールバーの役割分担を知ろう

 OpenOffice.orgが呼び出せるようになったら,まずは,各ソフトに共通の操作を理解しておこう。
 Microsoft Officeを操作していて,困ったことはないだろうか。使いたい機能があるのだが,機能を呼び出すボタンの位置が分からない,ツールバーを呼び出したら,画面中がツールバーだらけになってしまった,といった具合いだ。ケイ線ツールバーや画像ツールバーなど,一度に多くのツールバーを呼び出すと,どこにどの機能が割り当てられているのか戸惑ってしまう。
 OpenOffice.orgでは,機能に関して混乱が生じないよう,ツールバーの役割が3つに切り分けられている(写真6)。
 「標準ツールバー」には,各ツールで共通の機能が集められている。「新規作成」や「保存」,「印刷」といったボタンが配置されている。
 「書式ツールバー」は,その名の通り書式を設定する機能を集めたツールバーだ。フォントを選択する,サイズを変える,といった機能を集めている。
 3番目の「オブジェクトバー」は,選択したオブジェクトに合わせて,自動的に表示されるツールバーだ。ケイ線の選択中には「表オブジェクトバー」が,画像を選択中には「画像オブジェクトバー」が表示される。自動的に表示されるため,必要な機能を呼び出すボタンをユーザーが探す手間が省ける。画面がツールバーだらけになることもない。
 ただし,オブジェクトバーを[×]ボタンを押すことで閉じてしまうと,それ以降は表示されなくなってしまう。表示されないオブジェクトバーを再度呼び出すには,次のように操作する。

(1)操作したいオブジェクト(表や画像)を選択する
(2)[表示]-[ツールバー]-[(呼び出したいオブジェクトバーの種類)]

 ツールバーについてもう一つ知っておかなければならないのが,▼マークの機能だ。ツールバーをよく見ると,小さな▼マークの付いたものがある。このマークは,該当するボタンに複数の機能が割り当てられていることを示すものだ。
 例えば,「新規作成」ボタンの▼マークをクリックすると,作成するドキュメントの種類を選択できる(写真7)。「張り付け」ボタンでは,張り付ける形式を選択できる。「元に戻る」ボタンでは,どのステップまで戻るかを選択できる。