オーバーチュアやアドワーズなどの検索連動型広告へ出稿している皆さんは、リンク先ページをどう考えているだろうか。リンク先ページは全てトップページ? それとも詳細を記述したページへのいわゆる「ディープリンク」? キーワードが意味合いの広い「ビッグキーワード」ならトップでもいいだろうし、意味の絞り込まれた「スモールキーワード」ならディープリンクでも良いかも知れない。ただ、ユーザーが求めている情報は、本当にそこにあるのだろうか?

 そんな疑問に答える一つの解が「ランディングページ」であろう。
 キーワードの背後にはその語句を検索するユーザーの層がある。また、同じワードでもオーバーチュアとアドワーズではその層が異なるケースも多い。Googleで検索されないキーワードが、Yahoo!では多数検索されていることも多く、その逆もある。そんな多種多様な検索ユーザーをうまくプロファイリングしセグメントすると、彼らの欲しがる情報の違いも見えてくるはずである。それぞれのユーザーの違いに合わせて作る入り口ページこそが、真のランディングページである。

 例えば、特定のキーワード群をYahoo!から検索するユーザー向けに、情報を“やさしく”まとめ、必要な知識を得てから本サイトへ誘導するページ。あるいは、同じキーワード群だがGoogleから検索するユーザー向けには、情報を“詳しく”まとめて1ページでコンバージョンにつなげてしまうページ、などが考えられる。またわかりやすいところでは、キャンペーン用の特設サイトとして用意し、特定のユーザーだけに訴求する例なども見かける。ランディングページから通常のサイトに誘導するのか、そのままコンバージョンまで一気に結びつけるなのか、などなど目的を明確にする事も重要となってくる。

 特定のキーワード群に対するコンテンツがサイトに不足するため、オーバーチュアのキーワード審査が通らない場合に、(レギュレーションに反しない程度に)コンテンツを盛り込んだランディングページを作り、掲載してもよいかも知れない。大量にスモールキーワードを掲載して平均クリック単価(CPC)を下げ、ひいては顧客獲得単価(CPA)の低減も図るようなケースでは、スモールキーワードだけに、やや掘り下げた内容のコンテンツも必要になる。サイトの主要テーマとやや異なるキーワード群の場合は、この方法で機会の損失も防げるだろう。

 短期キャンペーンとして、テレビや新聞などの他メディアと連携させて掲載する際などにも有効に使えるのではないか。SEOに比べて、よりフレキシブルな掲載が可能な検索連動型広告は、メディアミックスに活用することでテレビや新聞などのユーザーの取りこぼしを減らすことができそうだ。

 要は、どんなユーザーにどんな情報を見せればコンバージョンにつながるかという仮説と検証を行うことだ。その結果、ベストなキーワード群とランディングページの組み合わせが見つけられればよいだろう。

 ランディングページの考え方は特に目新しいものではないのだが、先日ニューヨークで行われたSES(Search Engine Strategies)でも議題にあがっていた。今後も目が離せない技法の一つといえる。

(アウンコンサルティング コンサルティンググループ 根本和行)


 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。