誰が共有ファイルをWinny(ウィニー)ネットワークに流したのかを特定できないということです。あるユーザーがファイルをダウンロードすると,そのファイルはダウンロードしたパソコンのキャッシュ・フォルダに残ります。このキャッシュ・フォルダのファイルは,大もとの公開ファイルとまったく同じに扱われます。つまり,ファイルが1度ダウンロードされると,Winnyネットワークには同じ公開ファイルが2個出来上がるわけです。

 人気のファイルになら,この連鎖がどんどん起こります。つまり,公開されたファイルがWinnyネットワークを介してどんどん増殖していくのです。

 このコピーの増殖と同時にファイルの在りか(アドレス情報)などが記述された「キー」の書き換えも起こります。Winnyパソコンは,ファイルのコピーを取得すると,自分のアドレス情報を記したキーをほかのWinnyパソコンへ送ります。こうなると,そもそもファイルを流出させたのが,どのパソコン(IPアドレス)かということも,キーの書き換えが起こった時点でわからなります。

 ここが「Winnyは匿名性が高い」と言われるゆえんです。


本記事は,日経NETWORK2006年5月号特集1『徹底解明 Winny&暴露ウイルス』に掲載した内容の一部をITpro向けに編集したものです