米Mirapoint。Corporate Marketing & Global Channels担当取締役のCraig Carpenter氏
米Mirapoint。Corporate Marketing & Global Channels担当取締役のCraig Carpenter氏
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ComplianceVault
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ComplianceVaultの管理画面
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 メール・サーバー機能を中心とするアプライアンスを開発する米Mirapoint。Corporate Marketing & Global Channels担当取締役のCraig Carpenter氏が,セキュリティ関連展示会「RSA Conference 2006」の講演のために来日した。2006年4月27日,Craig Carpenter氏に企業のメッセージング環境の動向を聞いた。

---米Mirapointがメール・サーバー専用機を市場に投入したのは1997年。2006年へと時代が移り,企業を取り巻く環境はどう変わったのか。

 当初描いていたビジネスのゴールは,管理が面倒な電子メール環境をシンプルにするということだった。その後,セキュリティ問題が社会に台頭,セキュリティ機能を実装し,セキュリティ専用の製品ラインを追加した。その後,企業ユーザーのメッセージング形態が広がった。スケジュール共有などのグループウエア機能を実装した。

 セキュリティへの取り組みは,ウイルス対策,スパム対策,ルーティング制御など,需要がある機能を実装した。セキュリティ専用製品は,メール・サーバーと組み合わせて使うメールのアーカイブ保存用アプライアンスを2006年4月に北米で出荷したばかりだ。インスタント・メッセージ(IM)を安全に扱うためのアプライアンスも出荷済みだ。

 企業のメッセージ基盤のすべてを,標準プロトコルを使いつつ,シングル・ベンダーで揃えられるようにしている。個々のアプライアンスを単独で購入しても十分に有益だが,シングル・ベンダーで製品を揃えることで,運用管理コストを削減できる。共通のユーザー・インタフェースで扱えるからだ。

 このように,現在の企業のメッセージング環境は複雑になっている。複雑な環境の中,安全なメッセージングのためのインフラ作りのためにできることをする。これが我々のミッションだ。

---直近のセキュリティへの取り組みは。

 新しい話題では,「RAPID Anti-Virus」と呼ぶ,シグネチャ・ベースではないウイルス対策機能を実現した。ウイルス対策とスパム対策機能を提供するイスラエルCommtouch Softwareの技術を使っている。シグネチャを使ったウイルス対策に英SophosとフィンランドF- Secureのソフトを用いつつ,これらを補完する位置付けとなる。

 Commtouch Softwareは,インターネット上で3000~4000万個ほどのメール・ボックスを配置して運用している。あるネットワーク・トラフィックが急激に増えるといった動向を察知して,ウイルス・メールに特有の配信パターンを解析する。解析したウイルスのパターンを,ユーザー企業のアプライアンスに配信する仕組みだ。これにより,シグネチャがまだ作られていないウイルスを可能な限り防御する。

 同社はまず,スパム対策で同等の機能「RAPID Anti-Spam」を実現していた。受け取ったメールを一方向ハッシュ関数MD5にかけたハッシュ値をCommtouch社にHTTPで送信することにより,スパムかどうかを判別できるものだ。今回のRAPID Anti-Virusは,スパム配信に加えてウイルス配信のパターンを,中身を検閲することなく実現する。

---ついにMirapointもアーカイブ専用装置を投入することになった。

 電子メールをディスクに蓄積しておき後から検索して閲覧できるようにするアーカイブ・アプライアンス「ComplianceVault」を2006年4月に出荷した。日本では数カ月後に市場投入する。現在,ユーザー・インタフェースの日本語化を進めている。

 アーカイブ用途のストレージだが,特徴は,メール・サーバーと組み合わせて使うことを前提としたアプライアンスであることだ。アーカイブするメールは,メール・サーバーに対してIMAP4またはPOP3でアクセスして取得する仕組みだ。高さ1Uサイズに1Tバイトのディスクを搭載する。8Tバイトまで拡張できるようにする予定だ。

 アーカイブの需要は高い。コンプライアンス(法令遵守)とeDiscoveryが牽引している。後者の需要は特に高い。例えば,米Morgan Stanleyなどのように,頻ぱんに訴訟をしている企業がある。短時間で該当メールを検索して提出できなければ,罰金を支払わなければならないだけでなく,訴訟自体にも負けてしまう。

---企業ユースのIMへの取り組みは。

 米FaceTime Communicationsが開発したIM AuditorとRTGuardianと呼ぶソフトウエアをアプライアンスに搭載した。IMのプロキシ機能を持ち,アクセス制御が可能になる。また,メール・アーカイブ同様に,IMでやり取りされるメッセージもまたアーカイブ・アプライアンスのComplianceVaultに蓄積し検索と閲覧が可能だ。

 北米ではIMはアーカイブと並ぶホットなトピックだ。企業のメッセージの多くが,電子メール以外にIMでもやり取りされている。