トラフィックを抑制したり,セキュリティを確保したりするためです。 プロバイダがWinnyの通信を規制する目的には大きく二つあります。それは,トラフィックの抑制とセキュリティの保護です。

 Winnyに代表されるP2Pファイル共有ソフトの通信を規制しようという動きが最初に見られたのは2003年末ころのことです。当時は,Winnyなどのファイル共有ソフトが発生させる上り方向のトラフィックがネットワーク全体を圧迫し,他のユーザーのインターネット利用に支障が出始めたことに対して対策をとるのが目的でした。P2Pファイル共有ソフトを利用しているユーザーと利用していないユーザーの間の不公平を是正し,ネットワークを安定的に運用しようという考えです。

 一方,最近になって,セキュリティ保護を目的に,ぷららネットワークスがWinnyの通信を遮断する意向を表明しました。これは,Winnyを介した情報漏えい事件やその2次被害を防ぐのが目的です。Winnyネットワークに情報が広く行き渡ってしまうと,その情報を回収するのは事実上不可能です。そこで,最後の手段として,Winnyの通信を遮断し,情報そのものを流さないようにしようと考えたわけです。


本記事は,日経NETWORK2006年5月号の『ビギナーズ・クエスチョン』および『NewFace』に掲載した内容の一部をITpro向けに編集したものです