早いもので当社が検索エンジンマーケティング(SEM)を始めて丸7年が経った。最近では、SEM業界を中心に就職活動をする学生もおり、1つの業界にまで育ったと感慨もひとしおである。そこで、業界の一員として、この業界の過去未来を私なりに考えてみた。

  • 第1世代(1996年~):検索エンジン登録(ディレクトリ登録)
  • 第2世代(1999年~):SEO(検索エンジン最適化)
  • 第3世代(2002年~):P4P(検索連動型広告、リスティング広告)
  • 第4世代(2005年~):SEMのポートフォリオ運用(SEOとP4Pの融合)
  • 第5世代(2006年~):コンテンツ連動型広告、マスメディアとの連動

 第1世代はYahoo!JAPANのディレクトリを中心としたSEMで、未上場企業の登録成功確率が1%程度であったため、個人を中心とした登録代行業者も100社ばかり存在したようだ。1回5~10万円程度の料金で、企業のウェブマスターに代わり登録文章を作成し、登録申請をするというサービスであった。現在では有償の「Yahoo!ビジネスエクスプレス」としてYahoo!JAPAN自身が登録を受け付けるサービスを展開している。その数、月4,000件以上と聞いている。

 第2世代はGoogleのオーガニックサーチ(ロボット型検索エンジンによる検索結果)を対象としたSEMで、HTMLの書き換えやリンクの張り替えなどにより、自社のサービスや商品にマッチしたキーワードで上位10位にランクインさせるというものだ。ウェブ制作会社から転換をしたSEO会社が毎週のように誕生し、一時は数百社にも上った。人気のあるキーワードでは上位表示の難易度が高いため、SEO専門会社(当社もその1つ)は実力のある企業のみに淘汰され、現在、主要なプレーヤーは4~5社と認識している。一方、SEOができないウェブ制作会社は受注競争から漏れることが多くなり、内実はともあれ、ほとんどの会社のメニューに加えられるようになった。

 第3世代はオーバーチュア「スポンサードサーチ」やグーグル「アドワーズ広告」といった検索連動型広告を中心としたSEMだ。費用さえ払えばほとんどタイムラグなしに上位表示が可能で、ROI(費用対効果)も測定しやすいという特性を活かして一気に普及した。現在はオーバーチュアやグーグルと正規の代理店契約を結んだ大手代理店6社(当社もその1つ)が市場を牽引し、年率2倍成長の勢いを維持している。アメリカではインターネット広告の40%を占めるまでに至っており、日本でも同様の成長が期待されている。

 第4世代はSEO(Google/YST/MSN)と検索連動型広告(オーバーチュア/アドワーズ広告/他)を融合した形でのSEMが中心になると当社では考えている。キーワード別にどのチャネルが最もROI(費用対効果)が高いのかをコンサルティングする究極のSEMである。2003年からその流れがあるアメリカでは、SEM専門会社も多数存在しており、業界トップの企業には500億円程度の企業価値も付けられている。日本では現在のところ、本当の意味でSEMに特化した企業は当社のみである。

 第5世代のSEMについては、まだどの業界人も模索している段階であるが、私はコンテンツ連動型広告と、マスメディア(既存メディア)との連動がそのカギだと考えている。前者の市場規模は、今から3年後の2008年にはP4Pの1,250億円に対してその半分の625億円まで成長すると考えている。また後者に関しても、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、交通広告、ダイレクトメール、折込チラシなど既存マスメディアの表現時間や面積・内容には制限があり、検索という行為を軸にして、さらに多く深い情報を提供するチャネルとして活用することが可能だと考えている。その意味で、既存マスメディアの市場を侵食するのではなく、上乗せされる形でさらに拡大してゆく可能性が高いと見ているのだが、いかがだろうか?

(アウンコンサルティング 代表取締役 信太明)

 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。