個々のWinnyユーザーが自分のアップロード・フォルダに登録します。 順を追って,説明しましょう。

 Winny(ウイニー)がインストールされたパソコンには,本体プログラムであるWinny.exeなどや,接続先情報などを記した設定ファイルがハードディスクに保存されています。また,ファイル共有用フォルダも作成されます。このうち,ファイル共有に関係しているのが,ファイル共有用フォルダです。その中でもとくに重要なのが「キャッシュ・フォルダ」です。Winnyが通信相手と実際にやりとりするのは,このキャッシュ・フォルダからデータを出し入れするからです。

 Winnyは,共有しようとする「元ファイル」から,ファイルの名前や存在場所などを書いた「キー」と,元ファイルを暗号化して細かいブロックに分けた「キャッシュ・ファイル」の二つを作ります。このうち,目的のファイルを探すために使われるのが,キーです。ここにファイルの名前やファイルの在りか(アドレス情報)が書かれています。

 ファイルをほかに公開しようとするWinnyパソコンはキーを作ると,そのキーをほかのWinnyパソコンに送ります。これを受け取ったWinnyパソコンは,そのキーを保存し,さらにほかのWinnyパソコンへキーを送信します。これを繰り返すことで,キーはWinnyネットワークにつながったパソコンにどんどん伝わっていきます()。


図 公開されたファイルの情報がWinnyネットワークを介して広まるしくみ

 ほかのユーザーがファイルを検索するときは,該当するキーを探し出すことになります。すでに多くのパソコンにキーが広まっていますから,ファイルを探すのは比較的簡単なはずです。

 ちなみに,情報流出させて大問題になった“暴露ウイルス”は,ユーザーが公開するつもりがないファイルでも勝手にファイル共有用フォルダへコピーします。こうするだけで,あとはWinnyが公開されたファイルだと判断してキーを作って,ほかのWinnyパソコンへそのキーを送ってしまうのです。


本記事は,日経NETWORK2006年5月号特集1『徹底解明 Winny&暴露ウイルス』に掲載した内容の一部をITpro向けに編集したものです