かつて米Microsoftに所属し,「ハンガリー記法」と呼ばれるプログラム手法を考案したソフトウエア開発者のCharles Simonyi氏が,2007年にロシアのロケットで国際宇宙ステーションに向かうことになりそうだ。億万長者であるCharles Simonyi氏は1980年代中頃,WordとExcelのメイン開発者の1人だった。

 ロシア宇宙局で有人飛行プログラムを司るAlexei Krasnov氏は「2007年春に向けたSimony氏との予備契約を結んだ」と語った。ロシアと結んだ宇宙飛行契約の契約金額は2000万ドルであり,これには訓練費用や2人の宇宙飛行士とともに人工衛星の中で1週間過ごすための費用が含まれている。米Forbes誌によれば,Simonyi氏の資産はおよそ10億ドルである。

 Simonyi氏は宇宙旅行に関して「あらゆる長期計画と同じで,(今回の契約でもって)予約をする必要があったのだ。宇宙飛行の前には,大量のトレーニングをしなければならない。私の当面の目標は,ロシアとアメリカのエンジニアリング・アプローチを経験から学ぶことだ。私が将来実行する宇宙飛行は,専門家だけでなくより多くの人々を宇宙にアクセス可能にする重要な動きの一部になるだろう」と語っている。

 Simonyi氏は経験を積んだパイロットである。Microsoftを2002年に退職し,現在は自ら共同設立したソフトウエア会社で社長を務めている。Simonyi氏がハンガリー記法を考案したのは,1970年代中頃のことである。ハンガリー記法では,変数やプロシージャといったコード識別子の種類を,識別子名の前の接頭辞として説明的に付加する。変数名を与える接頭辞が英語らしくなく,Simonyiがハンガリー生まれなので,この方式はハンガリー記法として知られるようになった。Simonyi氏自身の手によるハンガリー記法の解説が,MicrosoftのWebサイトに存在するのでご覧いただきたい。