最後にtracertコマンドのメカニズムを実感するために,ping(ピング)コマンド*を使って再現してみよう。再現するのは,図1で試した調査と同じだ。図1では,IETFのWebサーバーまでの経路を調べた。それをpingコマンドでやってみようというわけだ。
そのためには,pingのオプション・パラメータを駆使する。送出パケットのTTLをセットする-iオプションと,パケット送出数を指定する-nオプションである。つまり,
ping -n 1 -i 1 www.ietf.org
と実行してみよう。
これで,最初に経由するルーターからエラー・メッセージ(TTL expired in transit)が返ってくる。そうすれば,最初に経由するルーターのIPアドレスがわかる*(図4[拡大表示])。
次は,2台目のルーターからエラー・メッセージを受け取るために,-iオプションの変数を2にして
ping -n 1 -i 2 www.ietf.org
と実行しよう。この実行結果から2台目のルーターのIPアドレスがわかる。
このあとは,-iオプションの変数を1ずつ増やしてpingコマンドを実行していこう。そうすれば,通信相手に到達するまでに経由するルーターのIPアドレスを,経由する順番にすべて調べられる。
tracertは,pingコマンドでできることを一発のコマンドにまとめているだけなのである。