ネットワークの耐障害性を高める手段として冗長化があります。スイッチでは,スイッチまたはスイッチ間のリンクの障害に対する冗長化手法として,STP(Spanning Tree Protocol)が使用されます。STPを理解して,レイヤ2レベルの冗長化設計を覚えましょう。
スイッチの冗長化
1つの経路しか持たないネットワークは,その1つの経路が障害によって使用ができなくなると,ネットワーク全体が使えなくなってしまったりします。このため,冗長性(リダンダンシ:Redundancy)を確保する必要があります。スイッチによって作られたネットワークの場合,冗長の経路を確保することになります(図1)。
図1 冗長の必要性
しかし,冗長経路を確保すると,LANにループが発生してしまいます(図2)。
図2 ループの発生
ループが発生すると,このフレームのやりとりだけで帯域が消費され,その他の通信ができなくなってしまいます。このループはスイッチのMACアドレステーブルにエントリがない場合も同様に起こります(MACアドレステーブルにエントリがない場合,フラッディングされるためです)。
そこで使用されるのがSTPです。STPでは通常(障害の発生していない時)は,冗長経路を使用しない状態にしておきます。そして,障害が発生して使用している経路が使えなくなった場合に,冗長経路に切り替えます(図3)。
図3 STPによる冗長化