図1 tracertコマンドで相手のコンピュータまでの経路を調べる<BR>コマンド・プロンプトから「tracert 相手のコンピュータ」と実行すると,相手にIPパケットが届くまでに経由するルーターのドメイン名やIPアドレスが表示される。
図1 tracertコマンドで相手のコンピュータまでの経路を調べる<BR>コマンド・プロンプトから「tracert 相手のコンピュータ」と実行すると,相手にIPパケットが届くまでに経由するルーターのドメイン名やIPアドレスが表示される。
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 tracert(トレースルート)コマンドの使い方と,メカニズムをマスターしよう。通信相手までに経由するルーターを列記してくれるので,途中にある回線やルーターの障害を発見できる。

 特定のサーバーにだけつながらなくなった。管理者に問い合わせてみるとサーバーは正常に動いていて,ほかからは似たような障害は報告されていないという。サーバーに行き着く途中の経路で,何か問題が起こっているのではないか——。こんな場面で活躍するのがtracertというネットワーク・コマンドである。tracertは,あて先までに経由するルーターをリストアップし,それぞれのルーターとパケットをやりとりする往復時間を調べてくれる。このコマンドを使えば,途中のルーターがダウンしていたり,回線が混雑していることがわかる。

通信相手を指定するだけ

 tracertコマンドのしくみを確認する前に,まずは実際に使ってみよう。例として,インターネットに直接つながったパソコンからIETF(アイイーティーエフ)*のWebサーバー(www.ietf.org)までの経路を調べてみよう。

 使い方は非常に簡単だ。スタート・メニューからコマンド・プロンプト*を開いて,

tracert www.ietf.org

と打ち込むだけだ(図1[拡大表示])。あて先であるwww.ietf.orgの部分は,ドメイン名ではなく,IPアドレスやWindowsマシンのコンピュータ名*でもかまわない。

 すると,あて先までに経由するルーターが順番に表示される。結果は図1のような画面が一瞬にして表示されるのではなく,1行ごとに順番にゆっくりと表示されるはずだ。詳細はあとで説明するが,これはtracertコマンドが経由するルーターを一つずつ調べているからである。

経由する順番にルーターを表示

 表示結果は複数行にわたっている。左端には1から18までの番号がついている。これは相手にIPパケットが届くまでに経由したルーターの順番だ。この数のことを「ホップ数」という。ただし,最終行(図1では左端に「18」とある行)だけはルーターではなく,あて先のコンピュータになる。

 各行の2列目以降には時間情報が三つ並んで表示されている。これは,自分のパソコンからルーターにパケットを送り,その応答が戻ってくるまでにかかった「往復時間」である(単位はミリ秒)。Windowsのtracertコマンドは,この往復時間を3回計測しているわけだ。

 そして,各行の最後には,経由したルーターやあて先マシンの名前(ドメイン名)とIPアドレスが表示される。