Windows Live OneCare(以下OneCare)には,パソコンのパフォーマンスを維持する機能やファイルのバックアップ機能など,セキュリティ以外の機能も搭載されている。今回は,これらチューニング・ソフトをテストするほか,Windows Live OneCareの限界点についても解説する。

 OneCareのメイン画面にある「Perfomance Plus」というセクションには,「System Tune-up」という機能を呼び出すためのリンクが用意されている。Tune-up機能は,システムを安全な状態に保ったり,システムのパフォーマンスを高いレベルに維持したりするためのOSの機能を,まとめて一度に実行してくれるものである。何を行うのか,具体的に見ていこう。

・ハードディスクのデフラグ

 OneCareは,Windows内蔵のディスク・デフラグ機能を定期的に実行し,システムの全体的なパフォーマンスを向上させてくれる。ほとんどのユーザーは,デフラグを定期的に実行したりはしないので,その意味では役に立つツールであると言える。

・ウイルス・スキャン

 これは,常駐のウイルス対策機能とは別の機能である。パソコン上のファイルに対してウイルス・スキャンを実行して,コンピュータ・ウイルスに感染したファイルが無いことを確認する。ユーザーはOneCareを初めてインストールした際にフル・スキャンを実行すべきだが,フル・スキャンを実行しなくてもOneCareがフル・スキャンを実行するように促してくれる。

・バックアップ

 OneCareは,ハードディスク上のファイルと,一番最後に実行した定期バックアップのデータとを比較して,何らかの変更が加えられたファイルをバックアップするように促す。バックアップからの復元機能は,Tune-up機能の説明の後に,詳しく解説しよう。

・自動アップデート

 Microsoft Updateからダウンロードすべき新しいアップデートがないかチェックする。Windows OSだけでなく,オフィス・ソフトなどMicrosoft Updateがサポートする全ソフトが含まれている。

・不要なファイルの削除

 この機能は,デフォルトで無効になっている。ハードディスク上の不必要なファイルを削除したり,圧縮したりする。削除対象は,不必要なセットアップ・プログラムやWindowsの一時ファイル,インターネット一時ファイルなどであり,ユーザーが作成したデータは削除しない。

 Tune-up機能を起動すると,図1のような画面が現れて,設定しておいたタスクを実行していく。作業中は,どれか一部のタスクを飛ばしたりできない。従って,手動でウイルス・スキャンを実行した後でTune-upを起動すると,もう一度ウイルス・スキャンが実行されるわけだ。デフォルトの設定では,Tune-Upは4週間に一度,日曜日の午前1時に自動的に実行されることになっている。


図1:Tune-up機能を実行している画面 1

 Tune-up機能には省略されているタスクもある。スパイウエアのスキャンができないのだ。ユーザーはシステムの監視に「Windows Defender」を使っているので,Windows Defenderの定期スキャンを利用すれば済むことかもしれない。しかし,OneCareからWindows Defenderのスパイウエア対策機能も呼び出せるように,これらの製品をより密接に統合する方法があっても良いのではないだろうか。先日のブリーフィングで,Microsoftのシニア・プロダクト・マネージャであるLarry Grothaus氏は「最終的にはそういうことになるだろう」と筆者に話してくれた。

・バックアップと復元機能

 OneCareのメイン画面で「Backup and Restore」のセクションを選ぶと,データ・ファイルのバックアップや復元が簡単に実行できる。この機能はWindows自体に搭載されているべきだ(実際のところ,Windows Vistaには今よりも高性能なバックアップ・復元アプリケーションが搭載されるだろう)。

 他の多くのバックアップ・復元アプリケーションと異なり,OneCareは非常にシンプルで論理的なウィザードを採用している。CD-RゃDVD-R,外付けハードディスクなどにバックアップできるが,ネットワーク・ドライブへはバックアップできない。初回のバックアップを実行しようとすると,OneCareはシステムをスキャンし,バックアップできるファイル形式の一覧表を表示する(図2)。また,フォルダの場所や個々のファイルを選択してバックアップするというシンプルなバックアップ手段も用意されている。フル・バックアップを一度実行すると,次回からは変更のあったファイルだけが対象となるので,バックアップにかかる時間は大幅に短縮される。


図2:ファイル形式によってバックアップ対象を選択している画面 1

 データの復元時にも,同様のウィザードを使用する。まず,過去にバックアップしたデータの一覧表から,復元したいデータを選択する(図3)。その後は,すべてのファイルを復元するのか,復元するファイルをファイル形式によって選ぶのか,あるいは復元したい特定のファイルを検索するのか,手法を選択できる。検索したファイルだけを復元できる機能は便利である。


図3:バックアップ・データの選択画面 1

 またこのウィザードでは,パソコン上のファイルと同じ名前を持つ復元ファイルをどのように処理するかを決められる。つまり,復元ファイルを一時フォルダにコピーするか,名前が重複するファイルを復元しないのか選択できるのだ。

 ファイルのバックアップと復元は,Windowsに内蔵されているツールで行うには,あまりにも骨の折れる作業である。ところがOneCareがあれば,初心者でも容易に重要データのバックアップが取れるはずだ。