Symbian OSやWindows Mobileなどの汎用OSを採用し,ユーザーが自由にアプリケーションを開発して実装できる携帯電話である「スマートフォン」。2004年12月にボーダフォンが発売した「Vodafone 702NK」(Nokia 6630)が国内のスマートフォンの先駆けで,その後NTTドコモやウィルコムからも製品が登場している。

 ITproのテーマサイト「携帯&モバイル」の前身である「ケータイ on Business」は,ユーザー企業のスマートフォンへの理解や利用意向を調査した。その結果「自社業務にスマートフォンが役立つ」という回答がほぼ半数から得られた(【前編】)。

 調査は,メール・マガジン「ケータイ on Businessメール」の2006年2月時点の登録読者から「ユーザー企業」の属性を持つ人を抽出して,Webサイトによるアンケート形式で実施した。【後編】では,スマートフォンへを自社業務で利用する際の,具体的な内容について調査結果を報告する。

パソコンの代替は「部分的に」可能
PDAからは「おおむね代替できる」

 スマートフォンは,業務アプリケーションを実装するなどして各種サーバーと連携するような業務に活用できる。それではユーザー企業の回答者は,現在,社外に持ち出して業務に使っているノート・パソコンやPDA(携帯情報端末)をスマートフォンで代替できると考えているのだろうか。回答者の勤務先でどの程度の代替が可能かを尋ねてみた。

 まず,ノート・パソコンの置き換えについての結果を図1に示した。全回答者から「社外ではノート・パソコンを利用していない」という回答を除き,割合を示したものである。ノート・パソコンで行っている業務をスマートフォンで「完全に代替できる」と答えたのは1.0%。「おおむね代替できる」が7.6%であり,ノート・パソコンの大部分の業務を置き換えられると考える回答者は,1割に満たない結果であった。

図1 ノート・パソコンを使っている業務は,部分的ならスマートフォンに代替可能
図1 ノート・パソコンを使っている業務は,部分的ならスマートフォンに代替可能
「完全に代替できる」と「おおむね代替できる」は合計で8.6%。「部分的であれば代替できる」が最も多い約6割を占めた。

 最も多い回答を集めたのは,「部分的であれば代替できる」との項目で,ほぼ6割に上った。過半数の回答者が,出先でノート・パソコンを使って処理している業務のうち,スマートフォンで閲覧や入力ができるような一部業務であれば,置き換えが可能と考えていることが分かる。

 一方で,スマートフォンではノート・パソコンの業務を「代替できない」と答えた人も4分の1以上になった。特に文字やデータの入力を中心とするキーボードを使った業務では,スマートフォンのタッチパネルや小さなキーボードでは力不足との判断である。

 次に,PDAを使っている業務の置き換えについての調査結果を図2に示す。「社外ではPDAを利用していない」という回答を除いた回答者の割合を示した。ノート・パソコンとはうって変わり,代替できると考える層が大きく拡大していることが分かる。「完全に代替できる」は19.2%と2割に達する勢いであり,「おおむね代替できる」との回答が43.0%に上る。この「完全に」または「おおむね」代替できる層を合計すると6割を超え,PDAで処理する業務であればスマートフォンが有効な代替手段になりうると考えるユーザー企業が過半数を占めることが分かった。

図2 PDAを使っている業務は,6割以上がスマートフォンでおおむね代替可能
図2 PDAを使っている業務は,6割以上がスマートフォンでおおむね代替可能
PDAでは「完全に代替できる」と「おおむね代替できる」の合計が6割以上に達した。

 これに「部分的であれば代替できる」の24.5%を加えると,全体の9割近くに達する。現状のスマートフォンは,PDAの代替ツールとして認識されている。