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電子行政:スペシャルレポート

【短期集中連載】データで見る電子自治体の弱点 (2)業務の継続性

まだまだ低い自治体の業務継続性への意識

2006/04/12 日経BPガバメントテクノロジー

文:石堂一成(東京コンサルティング代表取締役社長)

 前回に引き続き、「自治体の情報システムに関する実態調査(注)の結果より、業務の継続性確保の状況を分析した。

■2、3日以内で業務を復旧できる自治体は2割強

 8割近くの自治体はサービス・業務の継続性を十分確保できていない。——調査の結果、主要コンピュータの運用場所が地震・火災等で被災してサーバーが使用不能になった場合、データ、アプリケーションのバックアップおよび代替機を用意し、2、3日以内で業務を復旧できる自治体(都道府県・市・区)は、全体の22.2%にとどまることが分かった。

 この2割強の自治体のうち、被災時でも「業務が続行可能もしくは数時間で復旧できる」と回答した"業務継続性の先進自治体"は、全体の3.9%に過ぎない。今回の調査で情報システム格付け「AAA」を獲得した60自治体を見てみても、こうした先進自治体は、福島県会津若松市、神奈川県大和市の2団体しか存在しなかった。

 最も多かったのは、「復旧に1~2週間を要する」とした自治体で、全体の5割以上に達する(図1)。この過半数を占める多数派の自治体は、バックアップデータは確保しているものの、待機系システムを持っていない。一方、業務継続性の先進自治体では、通常業務で使用しているコンピュータが被災した場合でも、遠隔地に待機系のシステムを持ち、それに切り替えて業務を継続できる仕組みを有している。

図1 主要コンピュータが被災で使用不能になった際の業務継続性レベル

■ITガバナンスも確立されている業務継続性の先進自治体

 全体的には、人口規模の小さな自治体ほど、業務継続性の確保のレベルが低くなる傾向がある。1~2週間でも復旧できず「長期間必要」とする自治体の比率は人口規模が小さいほど高くなる。ただし、待機系システムを持ち2、3日以内で業務を復旧できる自治体の割合は、人口規模によらずほぼ一定である。また、「業務の継続が可能、または数時間以内に復旧可能」とする業務継続性の先進自治体は、むしろ小規模な自治体の法が比率が高くなっている(図2)。人口規模と業務の継続性確保との相関関係については、さらに詳しい分析が必要となりそうだ。

図2 自治体人口別で見る業務継続性レベル

 業務継続性の先進自治体は、システム化投資評価の庁内でのIT統括レベルも高い。先進自治体の43.8%が、「庁内の全体最適の観点から、情報システム部門が一元的に(システム化投資に際して)審査・承認する」としており、その他の自治体(15.9%)と大差がある。全体最適の観点から、自治体全体にとっての優先度を検討し、戦略的にIT投資を行うことによって、必然的に業務継続性も高まっていくと考えられる。

 業務継続性を高めるためには、庁内のIT統括レベルを高めるほか、トップの説得や、危機管理に対する庁内の認識向上に努めることも有効と考えられる。今後は、災害時のコールセンター機能の代行など、様々な業務の継続性確保のための手段も検討されていくはずだ。

■バックアップだけがすべてではない

 サービス、業務の継続性を強化する上では、どのサービス、業務のバックアップを確保するかが重要となる。現状では、先進自治体といえども、業務の継続性確保の狙い・効果がやや不明確な傾向が見られる。

 例えば、被災時の活動用に重要な、防災関連機関との連携について見てみよう。今回の調査では、災害対策の関連機関と庁内関連部署との連携システムがしっかりとできている自治体(関連機関との連絡やデータのやり取りについて、複数の手段がシステム化されている自治体)は98団体あった。しかし、そのほとんどは数時間以内にシステムを復旧する準備ができていない。

 逆に、業務を続行、もしくは数時間で復旧できる16自治体のほとんどは、関連機関との被災時の関連機関との連絡やデータのやり取りについてシステム化していないか, あるいは1種類の手段を確保しているにとどまっていた。

 バックアップレベルと関連機関との連携のレベルが共に充実している自治体は、千代田区、大阪府藤井寺市の2団体しかない。

 これでは、被災時に関係機関から情報を提供されたとしても、自治体のシステムが停止してしまっているか、逆に、関係機関との情報交換手段が不十分なため、高いバックアップレベルのシステムを活かしきれず、住民に対し十分な災害情報や安否確認のサービスを提供できない恐れがある。

 どんなサービス、業務の継続性を確保するのか、必要性・緊急性を十分に吟味し、目的・効果を明確化した上でバックアップ体制やシステム、インフラの整備に取り組む必要がある。そのためには、BCP(事業継続計画)を立案するとともに、継続的なレベルアップが図れるよう、PDCAサイクルを回していくことが重要である。


(注)「自治体の情報システムに関する実態調査」とは

日経BPガバメントテクノロジーと東京コンサルティングによる共同調査。47都道府県と国763市・区(2005年5月3日時点)の計810団体を対象に実施。調査票は2005年6月下旬に郵送で送付し、2005年3月末時点での状況について回答を依頼した。有効回答数は417団体(回収率51%)。AP(アプローチ:システム化プロセス・体制)、AR(アーキテクチャ:システムの基本構造)、AC(アチーブメント:システム化効果)の3分野について分析し、全分野がAランクの「AAA」60団体を選出した。調査結果はWebサイト「ITpro 電子行政」および「自治体システム格付けサービス」で公開中。

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