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続・IP電話の夜明け前(19)広帯域VoIPの悟りを開く(2003年〜)
当初、「音のいい電話」という発想からスタートしたプログラム。それを終了するときには、音がいいというのは「広帯域音声」のごく一面を示したのに過ぎないことに気付かされた。 フルIP網になるから、eおとになると最初は考えていた。しかし、次第に、eおとによってフルIP網を加速するのではないかと思うようになった。つまり、ユーザがeおとを利用することで、フルIP網へ移行しようというモチベーションが上がると考える方が市場に受け入れられやすいアプローチではないだろうかということだ。このように考えると、単に既存の電話がいい音になったというアプローチではなく、別の新たな価値を生み出す必要がある。 広帯域VoIPはリアル・コミュニケーションを超える 広帯域VoIPで通話するときに感じるのは、対面の会話より、臨場感やリアリティが豊かだということ。ネットワークを通じて、電気信号に一度変換された音が、現実の会話を超えるわけがない。馬鹿なこというなと叱られるかも知れない。最初は私もそう思っていた。しかし、広帯域VoIPは、日常行われているリアルの会話を超えているのである。 現実の会話シーンを思い浮かべて欲しい。現実の日常会話では、相手との距離は1m以上あるのが普通だ。消費活動におけるいろいろなシーンで会話が行われているが、例えば自動車などの高額消費財を買うような場合は、テーブルを挟んで会話をするし、アクセサリなど小物の消費財を買うときでも、ショーケースを挟んで会話をしている。つまり対面での会話の世界は、話す人の口と聞く人の耳は、ほぼ1m以上離れているといえる。口から発せられた音の波動は空気を通じて受話者に届くが、受話者の耳には確実に音声は劣化して伝わっているのである。一方、電話はどうだろう。話者とマイクの距離は数cmぐらいの距離だ。受話者の耳にはレシーバが接触しているので、距離はほぼ0である。本来、対面より電話のほうが、口と耳の距離が極めて小さいので、現実の会話を凌駕する可能性を秘めているのである。 なぜ電話の声は遠く感じるのか 既に電話網はオール・ディジタルになり、ネットワーク上の音質劣化はなくなっているはずである。しかも、話者の口と聴者の耳が極めて近いにもかかわらず,電話の声が遠く聞こえるのはなぜだろう。 その最大の要因は、本来、人間の持っている声の成分をすべて伝えていないからである。誤解を恐れず言わせていただくと、従来の電話網の技術では、電話を広く普及させるということを実現するために、用途を用件伝達に限定し人間の持っている声の成分の半分以上をカットすることにしたのである。3.4KHzという帯域、基本となる8kHzサンプリングを決めたのも、用件を認識するために必要な帯域として決められていたのである。 連載新着連載目次へ >>
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