図1 米Microsoft Corp.は動作中のOSを他のマシンに「引越し」させるデモを実演。仮想化技術を用いると,1台のマシンに複数のOSを動作させるだけでなく,動作中のOSを他のマシンに移動させることもできるようになる。Microsoft社は,Intel社の次世代Xeonプロセサ「Bensley」とMicrosoft社の仮想化マシン「Virtual Server 2005 R2」を搭載したマシン2台を利用して,Windows NTサーバーを引越しさせるデモンストレーションを披露している。
図1 米Microsoft Corp.は動作中のOSを他のマシンに「引越し」させるデモを実演。仮想化技術を用いると,1台のマシンに複数のOSを動作させるだけでなく,動作中のOSを他のマシンに移動させることもできるようになる。Microsoft社は,Intel社の次世代Xeonプロセサ「Bensley」とMicrosoft社の仮想化マシン「Virtual Server 2005 R2」を搭載したマシン2台を利用して,Windows NTサーバーを引越しさせるデモンストレーションを披露している。
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 米Intel Corp.の日本法人であるインテルは,仮想化技術の動作検証サービス「インテル バーチャライゼーション・テクノロジー・アクセラレーション・プログラム」を開始した。現在開催中の「インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2006」(2006年4月6日~7日)で発表した。インテルは,東京都内に「インテル VT検証ラボ Tokyo」を開設し,同社の仮想化技術「インテル VT(virtualization technology)」へのソフトウエアの対応を支援する。

 仮想化技術は,1台の物理的なコンピュータの上で複数のOSを同時に動作させる技術。OSとCPUコアの間に専用のミドルウエアを動作させて,CPUコアや周辺機器をOSごとに仮想的に分割して利用させる。
 
 様々な応用が考えられているが,現在の最も有力な用途は,データ・センターなどでのサーバー機器の有効活用である。「従来のサーバー機器は平均で15%~20%しかCPUを活用していない。仮想化技術を用いれば,1台に5つのOSを動作させることができ,従来のサーバー5台分の仕事をサーバー1台でまかなえる可能性がある」(同社)。

 ただし,仮想化技術には課題も多い。仮想化技術自体の実現方式が幾通りもある上に,既存のOSやアプリケーション・ソフトウエアは仮想化技術を想定して設計されていないため,組み合わせによっては思わぬ不具合が発生する可能性が残っているのである。今回のインテルのプログラムは「さまざまな仮想化ソフトウエアやOS,アプリケーション・ソフトウエアのさまざまな組み合わせを検証するもの」(同社)という。

2006年中にモバイル機器用チップセットも対応へ

 Intel社は,同社のパソコンやサーバー用チップセットを急ピッチで仮想化技術に対応させている。2005年にはCPUコアを仮想化するための支援技術「VT-x」を,同社のサーバー用プロセサである「Xeon」の7000番台に搭載。パソコン用でも「Pentium D」900番台のプロセサに搭載済みである。

 さらに今後は,大規模に対応を進める。2006年第1四半期に量産予定の65nmプロセスを用いるデュアル・コアのXeonプロセサ「Dempsey」や2006年第3四半期量産予定の「Woodcrest」,次世代版Itaniumプロセサの「Montecito(モンテシート)」などをVT-xやItanium系の「VT-i」に対応させる。モバイル機器向けのチップセットにも2006年内にVT-xを搭載することを予定している。