ブレード・サーバーは1枚の基板に,プロセッサやメモリー,ハードディスクといったハードウエアを集積した形状のコンピュータです。これを専用の収納ユニットに複数枚収めて使います(図1[拡大表示])。それぞれのブレード・サーバーは独立して動きますが,電源や冷却ファンは収納ユニットに組み込まれており共用しています。
サーバー室でネットワーク機器やサーバー・マシンを設置するサーバー・ラックは規格品*です。ラックに収める機器の横幅は19インチ(48.26cm)固定で,高さは1.75インチ(4.445cm)の倍数と決まっています。そして,高さ1.75インチを「1U」と呼びます。このため,従来のサーバーは最小でも1Uサイズでした。
収納ユニットは3~4Uサイズで,ここに6~20台のブレード・サーバーを収めます。つまり,1Uサイズのサーバー4台分で6~20台入るわけです。従来よりも小さなスペースにたくさんのサーバー・マシンを設置できるのです。たくさんのサーバーを運用する用途で利用するとメリットが出ます。
複数サーバーの併用に向く
ブレード・サーバーのメリットは省スペースだけではありません。故障への対応が容易で信頼性が高いこと,サーバーの増設や複数のサーバーを併用するときの管理がしやすいといった利点があります。
1Uサイズのサーバーを複数台使うと,電源や冷却ファンのような故障しやすい可動部品がサーバーの台数分あります。ブレード・サーバーなら,こうした部品を複数のサーバーで共用する分,信頼性が向上します。万が一,サーバー本体が故障しても,ブレードを入れ替えるだけで済みます。収納ユニットに空きがあれば,サーバーを追加して増強するのも簡単です。
また,たいていのブレード・サーバーは同じ収納ユニットに収めたサーバー群を一括管理するしくみを用意しています。あらかじめ予備のブレード・サーバーを装着しておいて,故障時に切り替えたり,2台を同時に動かして片方が故障しても処理が止まらないようにできたりします。
現状でブレード・サーバーをよく使っているのは,高い信頼性か処理能力,もしくはその両方が求められる用途です。例えば,データ・センター*やプロバイダ,科学技術計算を行う研究所などです。最近では,設置スペースを低減できるメリットに着目して,ブレード・サーバーの導入を検討する一般企業も増えています。
メーカーごとに仕様はバラバラ
ブレード・サーバーを販売しているメーカーは10社前後あります。しかし,メーカーが異なると互換性はありません。あるメーカーのブレードを別のメーカーの収納ユニットに収めては使えません。ブレードの形状や,収納ユニットとブレードを接続する部分がメーカーごとにバラバラだからです。
サーバーを選択する際にプロセッサ性能,メモリーやハードディスクの容量,対応OSといった点に着目するのは当然です。ブレード・サーバーを選ぶ場合は,これらに加えて以下の点にも注意を払うべきです。
まず集積度。収納ユニット1基のサイズ(高さ)と1基あたり何枚のブレード・サーバーを収納できるかは製品によって異なります。スペースや拡張性を考慮して決めることになります。
次に外部ストレージとの連携やRAID(レイド)*装置の利用が可能かどうか。つまり,どんなディスク装置と接続できるかをあらかじめ調べておく必要があります。
最後が管理ツールです。ブレード・サーバー製品の多くは収容された複数台のサーバーを一元管理するためのしくみを持っています。ただ,このときに使う管理ツールは,メーカーによって異なります。例えば,同一の構成を複数台に簡単に展開できる便利な機能を用意している管理ツールがあります。このあたりは,メーカーの特徴が出る部分ですから,しっかりと押さえておくべきです。
●筆者:福士 祐樹(ふくし ゆうき)氏 ソリトンシステムズ パートナー営業本部 テクニカル・マーケティング兼コンサルタント |