上山信一の「続・自治体改革の突破口」
目次
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第145回 米国で進行する等身大の行政改革――スマートガバメントとは何か―
米国行政学会に行ってきた(3月14-18日、ワシントンDC、American Society for Public Administration)。学会とはいっても公務員、コンサルタント、記者などが3割ほどいるので、テーマはきわめて実践的で事例と理論のバランスがとれている。海外からの参加者も多く、…
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第144回 存在意義を問われる市議会
難航する橋下改革
橋下大阪市長が辞任、再出馬する。市議会の既成政党は「候補者は出さない」という。マスコミは双方に対し批判的だ。橋下氏には、「(どうせ再選されるなら)6億円もかけて選挙するのは無駄」「市長選をしても議会の勢力図は変わらない」と批判する。既成政党に対しては「候補者を立てずにアンチ橋下を主張するのは不見識…
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第143回 医療は、コストか成長産業か?
先日、大阪府市が合同で運営してきた医療戦略会議の最終提言をまとめた。医療関連の政策検討委員会の座長は初めてだったが、松井知事から“業界外”の視点で成長産業の視点からも見てほしいと言われ、勉強しながら何とかまとめた。作業を終えてみるとずいぶんチャンスの大きな業界だと気がついた。
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第142回 在宅医療は、県任せにせず、市町村で取り組むべし
千葉・柏市役所の例に学ぶ
医療も福祉も「在宅化」の時代である。高齢化の進展でだんだん施設が足りなくなるという事情に加え、プライバシーを求める団塊世代のニーズに応えるためだ。厚生労働省も在宅化へと誘導する。だが現場の現実は厳しい。体制整備がなかなか進まない地域が多い。そんな中、筆者は先日、大阪府の医療戦略会議の議長として千葉…
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第141回 「民意」って何か?――むしろ公務員試験を変えたらどうか
最近、「民意」という言葉をよく聞く。当面は国政選挙がなく、自民党安定政権が続く。だから選挙で「民意」を問うのは難しい。そこで与党も野党も敵対勢力の動きを「民意に反する」と批判するのである。もちろんこういうのは我田引水でしかなく、ホンモノの民意ではない。だったら本当の民意とは何か。今回は民意について…
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第140回 薬のネット販売よりも自治体向け規制撤廃が重要
安倍政権の規制改革が、いまひとつ芳しくない。いわゆる岩盤規制が壊せないようだ。そんな中、薬のネット解禁が一大事、かつ象徴的事例のように語られているが、本当にそうか。なぜなら薬はネット販売になっても需要拡大があまり見込めない。単に売り場が代わるだけで、むしろ地方都市での雇用減につながるのではないか。
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第139回 堺市長選挙と都構想の行方
9月29日投開票の堺市長選挙は、「大阪都構想」の行方を左右する選挙として全国の注目を浴びた。結果は都構想に反対する現職の再選に終わり、「橋下維新の崩壊の兆しか」といった報道が飛び交った。そこで今回はこの選挙結果が今後の橋下改革にどういう影響を与えるか、私見を述べてみたい。
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第138回 「都市間競争時代」は本当か?
2020年オリンピックの開催地誘致で、東京はマドリードやイスタンブールに勝った。確かに東京は他都市に勝った。オリンピックの例に限らず、都市間に競争概念を持ち込む例が増えている。今回はこの意味について考えてみたい。
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第137回 なぜ武雄市立図書館はすごいのか――ツタヤ、スタバとのコラボ(下)
前回は今、全国で話題の武雄市立図書館を訪問・利用した印象を紹介した。今回は樋渡市長や図書館職員、運営受託者であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)へのインタビュー取材で伺ったお話も参考に、このプロジェクトの意義を考えたい。
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第136回 なぜ武雄市立図書館はすごいのか――ツタヤ、スタバとのコラボ(上)
今、話題の武雄市立図書館に行ってきた。私はこれまで国内外、さまざまな施設を見学してきたが、今回は参った。「市役所でもここまでできるのか」と圧倒された。長年、行政経営を提唱しながら、知らず知らずのうちに「役所の限界」を口にしていた自分が恥ずかしくなった。
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第135回 過去の民営化の是非を問い直す
港湾、空港、鉄道をヒントに考える
自民党の復活で、再び公共サービスの「民営化」の動きが具体化しつつある。空港の民営化のほか、首都高速道路の空中権の売却などの案も出てきた。筆者は、政府の関与は最小限にすべきと考えており、賛成だ。民営化ができない分野でも独立行政法人化を進めるべきだ。
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第134回 自治体発の規制改革
大阪府市統合本部の挑戦
安倍政権のもとで経済財政諮問会議や規制改革会議が再稼働した。国民の豊かさを象徴する指標である一人当たりGDP(国内総生産)の拡大に向けた議論が始まった。だが、全国平均の数値が上がっても、地方はなかなか恩恵を感じにくい。人口縮減や高齢化のインパクトも加わり、今後の成功モデルが描きにくい地域が多いので…
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第133回 行政改革、成功の秘訣(下)
行革は汽水域のようにデリケート
前回は、本物の行政改革には、政治の力と経営のセンスが必要ということを力説した。だが、現実にはこの2つを欠いた行政改革が横行し、マスコミもその欺瞞(ぎまん)を見抜けず、主催者側である行政機関の自画自賛をそのまま報道しがちである。
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第132回 行政改革、成功の秘訣(上)
経営と政治の連携プレー
郵政民営化、赤字空港問題、コメ農業の保護問題、年金問題など、行政が仕切る「事業」にまつわる課題が絶えない。たとえば巨額の赤字、劣悪なサービス、非効率、過大な人件費、無駄な投資、既得権益の温床化など、様々な課題が繰り返し報じられる。批判を浴びるたびに謝罪やトップの更迭が行われる。だが数年後にはまた同…
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第131回 なぜ、大学の改革はなかなか進まないのか
大阪の事例を手がかりに考える
筆者は2012年、大阪府立大学と大阪市立大学の統合の検討作業に参加した。また大阪市立大学の経営審議会委員としても大学経営のあり方を考えた。大学経営の課題については専任教員の端くれとして一応わかっているつもりだった。しかし今回、設置者(知事、市長)に対して改革を助言する立場から実態を分析してみると、…
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第130回 目の前の現実か、理念重視か
もうすぐ総選挙だ。しかし、争点がはっきりしない。いや、たぶん多すぎるのだろう。原発、TPP(環太平洋経済連携協定)から消費税、景気対策、領土問題、日銀問題まで、争点とされるテーマがたくさんある。加えて多党化現象である。マスコミは各党を平等に扱おうとするから、ますます争点が見えなくなる。「争点の数×…
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第129回 「第三極」に込められた7つの期待感
最近、「第三極」ということばをよく聞くが、いろいろな期待を含んだ言葉のようだ。第1には、自民党・民主党に次ぐ第3番目に大きな(多数の議席を獲得する)勢力になってほしいという意味。第2には自民党、民主党に代わって政権を担う3つめの新たな勢力(登場する順序が3番目)になってほしいという意味。
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第128回 大阪維新と日本維新
「大阪維新の会」の国政進出をめぐって様々な報道がされている。筆者は2011年5~12月に大阪維新の会の政策特別顧問を務め、また現在は衆院選の候補者の選定委員を務める。今回は大阪維新と国政改革の関係について私見を述べたい。
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第127回 大阪市バスの民営化
全国各地で路線バスの収益が悪化している。特に公営バスは軒並み、累積赤字に悩んでいる。そのなかでも飛びぬけて赤字額が大きいのが大阪市営バスである。単年度の赤字を累積させ、2011年度末でなんと600億円超もの累積欠損を計上している。
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第126回 大阪市営地下鉄の民営化
大阪府市統合本部では、府と市の事業の統合の準備を進めている。また本部では、地下鉄やバスなど、大阪市が直営で行っていた事業の民営化の準備作業も行っている。今回は6月19日に明らかにされた府市統合本部方針の地下鉄民営化の方向性を解説する。
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