写真1 国内で販売されているスマートフォン
写真1 国内で販売されているスマートフォン
左から時計回りに,NTTドコモの「FOMA M1000」,ウィルコムの「W-ZERO3」,ボーダフォンの「Vodafone 702NK II」。
※図をクリックすると拡大図を表示します。

 “スマートフォン”という言葉は過半数がすでに知っていて,自社業務にスマートフォンが役立つとの回答もほぼ半数に上る--。ITproのテーマサイト「携帯&モバイル」の前身である「ケータイ on Business」が実施した調査で,ユーザー企業のスマートフォンへの理解や利用意向がかなり高いことが分かった。

 Symbian OSやWindows Mobileなどの汎用OSを採用し,ユーザーが自由にアプリケーションを開発して実装できる携帯電話「スマートフォン」。国内では,2004年12月にボーダフォンが「Vodafone 702NK」(Nokia 6630)を発売したのが最初で,その後はNTTドコモの「FOMA M1000」,ボーダフォンの「Vodafone 702NK II」(Nokia 6680),ウィルコムの「W-ZERO3」が市場に投入されている(写真1)。

 調査は,メール・マガジン「ケータイ on Businessメール」の2006年2月時点の登録読者から「ユーザー企業」の属性を持つ人を抽出して,Webサイトによるアンケート形式で実施した。結果と分析を2回にわたりリポートする。【前編】では,スマートフォンへの認知状況や実務での利用意向などの調査結果を報告する。

5割超が“スマートフォン”の意味を理解
最もよく知られている端末は「W-ZERO3」

 まず,“スマートフォン”という言葉の意味を知っているかを尋ねた。図1に示した結果のとおり,回答者の50.9%が「よく知っていた」または「おおむね知っていた」と答え,スマートフォンの意味は半数を超える回答者に理解されていることが分かった。そのうち,「よく知っていた」と回答したのは18.0%。回答者のほぼ5人に1人がスマートフォンに高い理解を示している結果となった。

図1 「スマートフォン」という言葉は,過半数が「知っている」
図1 「スマートフォン」という言葉は,過半数が「知っている」
「よく知っていた」と「おおむね知っていた」を合計すると50.9%に上る。(回答数:222)

 「聞いたことがある程度」という回答は33.8%と約3分の1。上記の「よく知っていた」「おおむね知っていた」回答者と合わせると,84.7%に上る。今回の回答者の中では,少なくとも“スマートフォン”という言葉を聞いたことがある人が8割を超える結果であり,言葉自体はビジネス・ユーザーにかなり浸透しているようだ。

 国内で販売されているスマートフォン端末ごとに,利用状況と認知状況を聞いた結果を図2に示した。

図2 スマートフォンで最も「知られている」のはウィルコムの「W-ZERO3」
図2 スマートフォンで最も「知られている」のはウィルコムの「W-ZERO3」
「すでに使っている」「使っていないがよく知っている」「概要を知っている」の回答者合計では,ウィルコムの「W-ZERO3」がトップ。わずかな差でNTTドコモの「FOMA M1000」が続いた。(回答数:222,複数回答)

 「すでに使っている」回答者が最も多かったのは,2005年12月に発売したウィルコムの「W-ZERO3」。Windows Mobile 5.0をOSに採用し,フルキーボードを備えたスマートフォンである。回答者の5.0%が利用している結果が得られた。続いて,NTTドコモのビジネスFOMA「FOMA M1000」とボーダフォンの「Vodafone 702NK/同 II」が4.5%で続いた。いずれもSymbian OSを採用したスマートフォンで,FOMA M1000は2005年7月に発売,Vodafone 702NKは2004年12月,同 IIは2005年12月に発売した。

 「すでに使っている」回答者に「使っていないがよく知っている」「概要を知っている」と答えた数を加えた「知っている」回答者の比率でも,W-ZERO3がわずかな差でトップを守った。「知っている」比率は,W-ZERO3では51.0%と過半数に達した。FOMA M1000は49.6%と半数に若干届かなかった。半年近く後発のW-ZERO3が,FOMA M1000を抑えて調査時点では認知ナンバーワンのスマートフォンという結果である。

 一方,「名前を聞いた程度」という回答者まで含めると,順位が入れ替わる。FOMA M1000は78.0%に跳ね上がるが,W-ZERO3は68.6%。名前の浸透度は,発売からの経過時間も手伝って,FOMA M1000に軍配が上がった。