これから全5回の予定で,アスタリスク(Asterisk)を紹介します。第5回まで読んでいただければ,アスタリスクとは何か,何ができて何ができないのかなどの感触をつかんでいただけると思います。

 アスタリスクとは,PBX(構内電話交換機)を実現するためのソフトウエアです。Linux上で動くオープンソースのソフトなので,無料でインストールできます。欧米で人気を集めており,多くの人々がその柔軟性とパワフルさを口にしています。

 日本ではまだ知名度が低いので,おそらく,アスタリスクという言葉を聞いたことのない方もいるでしょう。ですが,ネットワーク業界では2005年後半から話題になっていました。

 アスタリスクは今のところ,柔軟で安価なPBXを作るための「素材」として注目を集めています。ただし私は,次のステージにおいては,電話とIT(情報技術)を融合する起爆剤として期待されるようになると見ています。今年後半には,今より注目されているはずですから,早めに概要を知っていただくことはとても価値があると思います。

 さて,第1回では「アスタリスクとは何か」を知ってもらいたいと考えています。どの程度注目されているのか,アスタリスクで何ができるのか,アスタリスクはどのような経緯で誕生したのか,などについて紹介していきます。

 まずは,アスタリスクが注目されている現状と,その理由から見ていきましょう。