2次試作品を実験室で評価したところ、100m/分のベルトコンベアで同時に97個読み取ることができたという。響タグの目標は、コンベア上で180m/分、パレット上の荷物がゲートを通過する際で200m/分の速度に対応できること。「その速度で同時に100個以上を読み取れるようにしたい」(日立製作所情報・通信グループIDソリューション事業部事業主幹の山下哲男氏)。ICタグの性能は動作環境によっても変わるため、2~3月の実証実験での評価も参考にして、最終の3次試作品で目標を達成したい考えである。

 最後に山下氏は、響プロジェクトに対して、さまざまな業界から寄せられた要望について披露した。

 アパレル業界からは、段ボール箱の中に入っている商品を外から一括検品したいという要望があった。ICタグでは100%は読めない可能性があるので、読めなかったときの対策を考える必要がある。

 家電業界からは、多品種で外観も違い、金属物が多い商品に張り付けやすいICタグが欲しいという意見があった。医薬品業界では、アンプルなど小さい容器に張り付けられるICタグが求められており、長い通信距離は必要がない。このためUHF帯ICタグは必ずも適していないかもしれないという意見だった。CD/DVD業界からは、アルミという金属物が蒸着されるCD/DVD盤に張り付けられるICタグを、プレス工程の中で取り付けられるようにしてほしいという要望があった。

 建機業界は、性能を維持できる期間が長いICタグが必要とのことだった。響タグは10年間動作を保障できるものを目指しているが、マンションなどはもちろん、10年より長く使われる。より耐久性の高いICタグが必要になる。

 日立はこうした要望を基に響タグの開発を進め、2006年7月に完成させる計画である。2006年10月ころには、実際の製品出荷を始めたい考えだ。