米テローCMOのケビン・ギャビン氏
米テローCMOのケビン・ギャビン氏
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 IP電話や電子メール,インスタント・メッセージ(IM)など複数のコミュニケーション・ツールを統合的に制御して,相手との最適な連絡方法を選べる−−。こうしたサービスの提供に向け,米シスコシステムズなど大手が一斉に名乗りを上げている。その中で,いち早く実用化を果たしたのが米ベンチャー企業のテローだ。同社は元アップルコンピュータCEOのジョン・スカリー氏など,IT業界の大物が創業したことでも注目を集める。最高営業責任者(CMO)のケビン・ギャビン氏に,テローが手がけるサービスの狙いを聞いた。(聞き手は高槻 芳=日経コミュニケーション

−−まず,テローが提供するサービスの概要を教えて欲しい。

 ユーザーがパソコンに専用のクライアント・ソフトを導入して利用する。あらかじめ自分のIP電話や携帯電話の番号,IMソフトのIDなどを登録。このクライアント・ソフトの画面上に,「相手が今,どの連絡手段を使えるのか」というプレゼンス(在席情報)が表示される。相手が電話中ならIMやメール,外出中なら携帯電話といったように,コミュニケーション手段を使い分けられる。さらにこのソフトを使って,リアルタイムのWeb会議やデータ共有なども可能だ。

−−なぜこうしたサービスを企業向けに提供するのか。
 ここ数年,企業のコミュニケーション・ツールがどんどんIPネットワーク上に集約されつつある。IP-PBXやIP電話サービス,IMソフトなどがそうで,利用頻度も飛躍的に高まった。ただし今のところ,それぞれのツールは相互接続性に乏しく,孤立して動いている状態。例えばA社のプレゼンス管理サーバーとB社のIMソフト,C社のIP-PBXを連携させてプレゼンスを管理するのは困難だ。

 これに対してテローのサービスでは,企業のSIPサーバーやIMサーバーを仲立ちするゲートウエイを提供する。IP-PBXやIP電話サービス,IMソフトの種類にかかわらず,プレゼンスの共有やメッセージ交換ができる。米アバイアや米シスコシステムズなどIP電話サーバーを作っている会社,米ベライゾンや米ボネージなどの電話会社,米IBMや米マイクロソフトといったソフトウエア・ベンダーと提携して,相互接続性を確保している。

−−マイクロソフトやシスコシステムズなどの大手も「ユニファイド・コミュニケーション」というコンセプトを提唱して,テローに似たサービスを提供しようとしている。これにどう対抗していくのか。

 何と言っても,導入時のコストや手間を抑えられる点で当社が有利だ。テローの場合,社員が各自で使っている電話番号やIMのIDをクライアント・ソフトに登録するだけで使い始められる。企業がプレゼンス管理サーバーやIMサーバー,クライアント・ソフトなどを一括して導入する必要がない。