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組み込み最前線

西康晴が語るソフトウエア品質(5) 「ハードより低い品質でも仕方ない」と思っていませんか?

西 康晴=電気通信大学 電気通信学部 システム工学科 講師 2006/04/10 日経テクノロジーオンライン

この連載記事の目次へ

この記事は,「日経エレクトロニクス」と「日経バイト」が刊行した別冊『組み込みソフトウエア2006---品質管理と開発技法の実践的改革A to Z』の掲載記事を抜粋したものです。詳細はこちら

 品質を向上させる最も基本的な取り組みは,一言でいうと手戻りを減らすことである。手戻りを減らすことによって改善を進め,技術者のモチベーションを高める。モチベーションが高い職場は自ら改善していく。こうした正のフィードバック・モデルを早急に確立することが,組み込みソフトウエアの品質向上の王道である。

 今回の連載では,そのために必要ないくつかの技術に加えて,工程をいかに融合させていくかについて概要を述べてきた。連載の最終回に当たって強調しておくが,重要なのは開発チーム全体でハードウエアと同等かそれ以上の品質を達成するという強い意志を持つことだ。

 例えば,現在,組み込みソフトウエア技術者の大半は,「ハードウエアより低い品質でも仕方がない」と思っていないだろうか?

 ソフトウエアだから品質が低くても仕方がないという考え方は,単なる甘えである。ハードウエアの分野でも,地道な改善を積み重ねて,ようやく高い品質のモノづくりを築き上げたのだ。組み込みソフトウエアでも,まさに今,愚直な努力が必要である。

現場を幸せにするために

 品質が低いというのは,クレームや赤字プロジェクトの頻発につながるだけでなく,何よりも現場が不幸せになる。筆者が見る限り,連日の残業で1カ月の残業時間が200時間を超えていたり,毎日終電で帰ったりというソフトウエア技術者は非常に多い。結果として,心の病が原因で会社を辞めていくエンジニアも多々見受けられる。その割合は,他の業界よりも圧倒的に高いだろう。

 そうした状況を変えるために,品質や信頼性を高めて手戻り作業を減らし,不必要な仕事を減らしていこう。デスマーチから抜け出し,高いモチベーションを持った笑顔あふれる開発現場を作っていこう。現場がやる気を出しさえすれば,プロセスの改善や新技術の導入によってチーム内の教育が活発になる。現場が幸せになれば,自然に品質は向上するのだ。現場をいかに幸せにするかが,今の組み込みソフトウエア開発に問われていることにほかならない。

(連載のこの章終わり)

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