注目のセミナー

◆3/7開催◆

スマホ、IP電話、クラウドで始まる内線電話革命

生産性向上とコスト
削減を両立!BYOD、
セキュリティ、災害対策まで徹底解説

必聴講座ご紹介

ビッグデータ EXPO 2012春
ビッグデータ時代に備えて〜今検討すべき情報分析基盤の全貌とは

日本マイクロソフト


ビッグデータ EXPO 2012春
ICTを活用した、情報爆発時代の新たな価値創出

NEC


Cloud Days Osaka 2012
会社を強くするためのクラウド×ソーシャル活用術

セールスフォース・ドットコム

ネットワーク・エンジニア倶楽部

企業ネット最前線

日経コミュニケーション

店頭商品の“鮮度”を逐一調査,
担当者200人にBREW端末配布---カルビー

2006/03/29
高槻 芳=日経コミュニケーション
出典:日経コミュニケーション 2006年3月1日号  122ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
写真1 携帯電話のアプリケーションで商品の販売動向をつぶさに収集<br>写真右は,店頭情報を収集する「ゾーン・セールス」と呼ばれる担当者。携帯電話の内蔵カメラで製造年月日を読み取る。写真左は,カルビーが現在利用しているKDDIの携帯電話機「A5509T」(東芝製)。
写真1 携帯電話のアプリケーションで商品の販売動向をつぶさに収集
写真右は,店頭情報を収集する「ゾーン・セールス」と呼ばれる担当者。携帯電話の内蔵カメラで製造年月日を読み取る。写真左は,カルビーが現在利用しているKDDIの携帯電話機「A5509T」(東芝製)。
[画像のクリックで拡大表示]
写真2 ゾーン・セールスが利用する店頭情報システムのクライアント画面<br>KDDIの端末上に,BREWアプリケーションとして実装している。
写真2 ゾーン・セールスが利用する店頭情報システムのクライアント画面
KDDIの端末上に,BREWアプリケーションとして実装している。
[画像のクリックで拡大表示]
図1 BREW対応携帯電話で自社商品の販売動向を店頭から収集するカルビー<br>ゾーン・セールスが自社製品の販売動向を店頭で直接収集し,データベースに反映。新商品の開発や在庫管理などに役立てている。この店頭情報をできるだけ最新のものに保つため,ゾーン・セールス全員にKDDIのBREW対応携帯電話機を配布した。
図1 BREW対応携帯電話で自社商品の販売動向を店頭から収集するカルビー
ゾーン・セールスが自社製品の販売動向を店頭で直接収集し,データベースに反映。新商品の開発や在庫管理などに役立てている。この店頭情報をできるだけ最新のものに保つため,ゾーン・セールス全員にKDDIのBREW対応携帯電話機を配布した。
[画像のクリックで拡大表示]
図2 拡大するゾーン・セールスの業務を携帯電話で徹底支援
図2 拡大するゾーン・セールスの業務を携帯電話で徹底支援
[画像のクリックで拡大表示]
写真3 ゾーン・セールスの業務を助けるチェック・シート形式のアプリケーション
写真3 ゾーン・セールスの業務を助けるチェック・シート形式のアプリケーション
[画像のクリックで拡大表示]
図3 ゾーン・セールス向けのコール・センターを開設<br>日報を口頭で報告できるように2006年1月,コール・センターを沖縄県に設置した。
図3 ゾーン・セールス向けのコール・センターを開設
日報を口頭で報告できるように2006年1月,コール・センターを沖縄県に設置した。
[画像のクリックで拡大表示]

「かっぱえびせん」や「ポテトチップス」で知られるカルビーは,自社製品の販売動向を直接収集するシステムを運用中。店頭に並ぶ製品の在庫などを,専任担当者が携帯電話のアプリケーションに入力して本社のデータベースに送信する。このデータベースを,製品の在庫管理や商品開発に活用している。

 顧客との接点である店頭で,自社製品が今どれだけ売れているのか。メーカーにとって最も重要な現場の情報を,携帯電話を使って売り場からリアルタイムに吸い上げる活動を続けているのがカルビーだ。

 同社では,「ゾーン・セールス」と呼ばれる200人以上の担当者を全国に配置。約1万2000カ所の小売店を直接訪問し,携帯電話のカメラで製品のバーコードを読み取り,「売り場に並ぶ製品がいつ製造されたのか」という情報を内蔵のBREW*アプリケーションに蓄積する(写真1[拡大表示])。この情報を,無線通信機能を使って専用のデータベースへ即座に送り込む(写真2[拡大表示],図1[拡大表示])。

 メーカーが製品の店頭在庫や売れ行きを把握する場合,小売店から渡されるPOS*データを利用するのが一般的。この点はカルビーも同様だ。ただし「顧客に出来たての製品を届けることがポテトチップス発売以来の文化」(前川佳久SCMグループスタッフ兼標準化営業支援チームリーダー)という同社にとって,スナック菓子は肉や魚といった生鮮食品のようなもの。その“鮮度”を常に保つことが,経営戦略の要となっている。鮮度管理を強化することが,流通システムの見直しや商品開発,販促活動などさまざまな業務の改善につながっていくからだ。

 そこで同社は鮮度情報の収集力を高めるため,2004年末から携帯電話を導入。2005年に本格展開し,一定の成果を上げている。2006年1月には,ゾーン・セールスの業務を支援するためコール・センターも構築した。

売り場の情報収集に専門組織を用意

 カルビーは以前から,製品売り場での情報収集に重点を置いている。もともとは「本社の営業部員が店頭に赴いて製品の製造年月日を調査していた」(前川リーダー)。だが,訪問店舗の拡大に伴い1998年,契約社員を募ってゾーン・セールス組織を立ち上げた。本社の開発部門や営業部門の社員がすぐに店頭の鮮度情報を参照できるよう,「鮮度管理データベース」の稼働も開始。2002年には鮮度管理データベースの情報と連動して,店舗ごとの履歴を示すデータベース「個店カルテ」を導入した。

 かつてゾーン・セールスが利用していた店頭情報システムは,製品をバーコード読み取り機で検査し,そのデータを専用の業務端末(ハンディ・ターミナル)に蓄積していくというもの。このデータは1カ月に1回程度,ゾーン・セールスが自宅からパソコンで本社に送信していた。

重い専用端末が現場の足かせに

 だがここ数年,ハンディ・ターミナルを使った店舗情報システムの限界が見えてきていた。

 カルビーには「ポテトチップス本来のおいしさを保つため80日を経過した製品をゼロにする」(前川リーダー)など具体的な目標がある。これを徹底する上で,在庫管理の起点となる店頭情報のリアルタイム性を高める必要に迫られた。

 一方で,ゾーン・セールスの役割も大きく変化した(図2[拡大表示])。マーケティング活動や製品開発を支援するためのきめ細かい情報を,日報で報告する業務が加わったのだ。例えば小売店での自社製品の評判や,周辺地域の催事日程といった情報である。

 さらには,小売店に対する新商品の販促や,商品の受発注業務をこなすケースも出てきた。店頭情報を報告するだけでなく,本社と相互に情報をやり取りしながら業務を進めるようになっていたのだ。

 こうした中,従来のハンディ・ターミナルはゾーン・セールスにとって大きな足かせと化した。端末の重量が400g前後でサイズが大きく,ほかにバーコード・リーダーも持ち歩く必要があったからだ。

店頭情報の入力・送信を携帯1台で実現

 ゾーン・セールスの報告業務を簡素化することで現場での営業活動を支援し,その上で店舗情報の“鮮度”も高めたい。このような新しい要求を満たすために,カルビーは2004年11月からゾーン・セールス向けにBREW対応携帯電話機を導入した。店頭情報の収集から報告までの一連の作業を,端末1台で効率よくこなせるようにするためである。

 携帯電話の重さは100g強が標準的で,バーコード・リーダーとハンディ・ターミナルよりもはるかに持ち運びやすい。従来は店頭情報を送信するのに自宅に戻ってパソコンを利用する必要があったが,携帯電話であれば無線通信機能を使って,いつどこにいても送信できる。

 ゾーン・セールスはまず,小売店の製品売り場でこのBREWアプリを起動する。内蔵カメラで製品のバーコードを読み取り,メモリーに蓄積。続いて携帯電話のパケット網経由で本社へ送信すると,即座に鮮度管理データベースに反映される。店舗や周辺地域の情報も,BREWアプリの「日報」機能を使って入力する。この情報は,日報管理用データベースに格納される。

 加えて同社は,ゾーン・セールスの営業活動を支援するための機能も追加した。小売店を訪問した際に誰と面談したか,といった項目をチェックしていくだけで,店頭での営業活動を確認できるようにした(写真3[拡大表示])。

 これらの入力データはいずれも,BREWアプリにいったん蓄積しておける。このため携帯電話の電波が届かないエリアでも作業ができ,好きなときにデータベースへ送信できる。

 携帯電話を業務端末として利用する場合,Webブラウザでデータをやり取りするケースも多い。しかしWebブラウザの場合は情報を端末に蓄積できず,サーバーとの通信が何度も発生する。カルビーは,データを蓄積しておける方が操作性に優れるとみてBREWアプリを使うことにした。ハンディ・ターミナルで実現していた従来の店舗情報システムから,違和感なく移行できるようにすることも重要だった。

 また同社は,BREW端末を使う理由に「端末上のBREWアプリケーションを本社から遠隔削除できる」(戦略グループIT企画チームの高橋靖夫氏)点を挙げる。携帯電話は常に紛失の恐れがつきまとうため,紛失時の情報漏えい対策は不可欠だった。

「カメラ起動1秒以内」の機種を選ぶ

 システム開発や運用に当たっても,現場での作業効率化に徹底的にこだわっている。

 例えば携帯電話の機種選定では,当初からカメラ機能に着目。「起動から1秒以内に撮影できる」という条件を課し,実店舗でテストを繰り返しながら候補を絞り込んでいった。

 携帯電話のカメラ機能は一般のデジタルカメラと異なり,機能をオンにしてから撮影できるようになるまでの間隔が長い。このような機種を使うと,ゾーン・セールスが店頭でバーコードを読み取る際の使い勝手が悪くなる。これに対して現在利用中の東芝製端末は,カメラの起動時間が1秒以内と,カルビーの条件をクリアしている。

 BREWアプリケーションの操作感も,カルビーが特にこだわったポイントだった。

 同社は,システム開発を担当したNECネクサソリューションズに対する要求仕様書に,アプリの画面遷移まで具体的な指示を盛り込んだ。アプリの開発段階には端末を製品売り場に持ち込み,「ゾーン・セールスが操作しやすいよう,現場で何度も確認しながら変更を加えていった」(高橋氏)。

 2004年11月に導入したBREW対応携帯電話はゾーン・セールス向けの研修などを経て,2005年には重要な業務端末としての地位を確立した。全国のゾーン・セールスが報告する店頭情報は,日々データベースへ反映されるよう進化。ハンディ・ターミナルを使っていた時に比べ,鮮度情報のリアルタイム性を大幅に高めることができた。

日報入力用にコール・センター開設

 ただし運用を続けていくうちに,この新たな店舗情報システムにも課題が浮かび上がってきた。

 単純なメニュー選択で作業を進められる鮮度情報と異なり,日報はボタンを使って文字入力していく必要がある。操作が煩雑なため,自宅のパソコンで文字を入力していた以前のシステムと比べて,ゾーン・セールスの手間が減ったとは言い難かった。

 そこでカルビーは2006年1月,携帯電話から口頭で日報を伝える仕組みを取り入れた(図3[拡大表示])。

 音声通話による情報をデータベースに取り込むため,沖縄県にゾーン・セールス向けのコール・センター*を新設。ゾーン・セールスがセンターに電話をかけて,口頭でオペレータに報告できるようにした。オペレータは内容を聞きながら,即座に日報データベースに入力していく。

 この仕組みでは,従来よりもコール・センターの運用コストや携帯電話の通話料がかかる。それでも同社は高い導入効果を確認している。「携帯電話からの手入力と比べて店舗情報のリアルタイム性が増し,情報量も格段に増えた」(前川リーダー)。現在は一部地域で検証している段階。2006年5月をめどに全国のゾーン・セールスへと広げる予定である。

この記事に対するfacebookコメント

nikkeibpITpro

読みましたか? 〜 未読記事をご紹介