筆者はよく読者から,「コンピュータを他人に使わせる場合に,どうすれば自分のデータを守れますか」と聞かれる。筆者はこういう場合「コンピュータ上に,最小限の権限しか持たない特別なアカウントを作り,他人にはそのアカウントを使ってログオンしてもらうのがよいでしょう」と答えることにしている。しかしこう説明すると,しばしば「Guestアカウントは,そのためにあるんじゃないんですか?」と反論されることがある。

 筆者は,Guestアカウントをなるべく無効にすべきだと考えている。Guestアカウントを有効にしていると,悪意のあるユーザーからのネットワーク攻撃を受けかねないためだ。だから筆者はこういう読者に対して,「ええ,Guestアカウントは確かに使えます。でも,もしユーザーが作業を終えたら,Guestアカウントはすぐに無効にしておくべきです」と返答している。

 Guestアカウントをパスワードで保護することも推奨しているが,これは時々混乱を引き起こす。なぜなら[コントロールパネル]の[ユーザーアカウント]の画面では,Guestアカウントにパスワードを適用できないからだ。

 Windows XP ProfessionalでGuestアカウントにパスワードを設定する際には,以下のような手順を実行する。まず[コンピュータの管理]コンソールから[ローカル・ユーザーとグループ]−[ユーザー]を選択する。右のペインにある[Guest]を右クリックして[パスワードの設定]を選択すると,Guestアカウントにパスワードを設定できる。警告メッセージを無視して,そのアカウントにパスワードを設定すればよい。

 残念ながらWindows XP Home Editionのユーザーは,Guestアカウントにパスワードを設定するのが困難である。Windows XP Home Editionには,Windows XP Professionalのようなアカウント管理ツールを装備していないためだ。

 Windows XP Home Editionでアカウントを管理するためには,コマンドを利用する必要がある。これらの機能はnetサービス・コマンドの一部になっており,Guestアカウントのパスワードについては特にnet userコマンドの機能になっている。

 Guestアカウントにパスワードを追加するには,コマンド・ラインで「net user guest password」とタイプする。「password」の部分をそのアカウントに割り当てたいパスワードに置き換えて入力する。コマンド・プロンプトで「net help user」とタイプすれば,net userコマンドで利用できるユーザー管理に関する全オプションと構文を参照できる。

 netサービス・コマンドはとても役に立つ。netサービス・コマンドを使えば,多数の共通のタスクを,現行の全バージョンのWindowsにおいて,コマンド・ラインからすばやく実行できる。ネットワークやユーザー・サポートを担当するシステム管理者であれば,netコマンドに習熟していることが望ましいだろう。