公衆無線LANのしくみがわかったところで,サービスを使う際のノウハウを押さえていこう。
重要なのはセキュリティ設定だ。公衆無線LANサービスにはユーザーが安全に利用するためのしくみが盛り込まれている。とはいえ,各アクセス・ポイントの機能や設定は自分では確認できない。家庭やオフィスで無線LANにつなぐのと同じ設定で公衆無線LANサービスにつなぐと,不正アクセスや盗聴など思わぬトラブルに巻き込まれることもある。安全に利用するには,セキュリティ設定の確認が欠かせない。
自宅やオフィスでLANを構築している人の中には,特定のフォルダをネットワーク上のほかのパソコンで共有できるように設定している人がいるだろう。共有設定をしておくと,パソコン間でデータをやりとりするのに便利だ。
だが,フォルダを共有する設定にしたまま,公衆無線LANエリアでパソコンを使うのは危険だ。他人にフォルダの中身を盗み見られる危険がある。
第一部で見たように,公衆無線LANエリアで使われるアクセス・ポイントには,ユーザーのパソコン同士が通信できないしくみがある。そのため,フォルダに共有設定をしていても,その中身が隣のユーザーのパソコンから丸見えになるようなことはない。
ただ,FREESPOTは,アクセス・ポイントの運用・管理が個々の公衆無線LANエリアのオーナーにゆだねられているため,ほかの公衆無線LANサービスのように設定が統一されていない。初期設定では周囲のパソコンのフォルダが見えない設定になっていても,「オーナーが自分のパソコンでファイル共有をするのに不便だからと,切ってしまう場合もある」(バッファロー フリースポット推進プロジェクトチームリーダーの内藤寛氏)。
同様に,飲食店やホテルなどが独自に運用しているアクセス・ポイントも,どのような設定になっているかわからないと考えた方が無難だ。サービスを使う前に,フォルダの設定状況を確認し,共有しない設定にしておく。
共有する設定になっているフォルダは,下から手で支えているようなアイコンで表示されるのですぐわかる(図2-1)。このようなフォルダがあったら,右クリックのメニューで「プロパティ」から「共有」タブの設定を開き,「ネットワーク上でこのフォルダを共有する」のチェックを外す。