いまやすっかり,Web上のインタラクティブ・コンテンツの代名詞となった感がある“Flash”。実は,アニメーションやゲームなど私たちが目にする,いわゆるFlashコンテンツは正確には「Flashムービー(ファイルの拡張子は.swf)」と呼びます。Flashムービーを作成する方法はいくつかありますが,一般には,アドビシステムズ(http://www.adobe.co.jp/)の開発ツール「Macromedia Flash(以下,単にFlash)」を使います。本連載では,Flashの2006年3月1日現在での最新版である「Flash 8」を使って,Flashムービーの作成方法を中心に紹介していきます。

Flashでできること

 まずはFlash8という開発ツールで,どんなことができるのかを確認してみましょう。Flashムービーとして作成できるのは,コンテンツのアクセントとしてのアニメーションから,ナビゲーション用のムービー,さらにはちょっとしたバナーであったり,ビデオカメラで撮影した動画であったり,携帯電話用の待ち受けやゲームと様々です。大ざっぱに分類すると,「アニメーション」「ゲーム」「ユーザー・インタフェース」「Webアプリケーション」の四つになるでしょう(表1)。

表1●Flashで作成できるコンテンツ
作成できる物説明
アニメーションまんがや映画のようなものから,バナー広告,オンライン・グリーティングカードなど。すでに作成されている動画ファイルを読み込んで表示することもできる → サンプル1(音が出ます)サンプル2(音が出ます)*1
ゲームFlashが備えるActionScriptというスクリプト言語を使って,画像や音を制御してゲームを作成 → サンプル(音が出ます)
ユーザー・インタフェースあらかじめ用意されたボタンやリストボックス,テキストボックスなどを利用したインタフェースを作成 → サンプル
Webアプリケーション各種CGIやDBサーバーなどと連携を行うアプリケーションのインタフェースを作成 → サンプル(RSSリーダー)*2
* 表1にあるサンプルはFlash Playerの最新版であるFlash Player 8で動作します。Flash Player 8はアドビスシステムズのWebサイトで無償ダウンロードできます。
*1 アニメーションのサンプル2が表示されない不具合があったのを修正しました(3/26)。
*2 WebアプリケーションのサンプルとしてRSSリーダーを追加しました(3/26)。

 作成したFlashムービーは,ブラウザ(Internet Explorerなど)にプラグイン・ソフトとしてインストールしたFlash Player上で再生できます(Flash PlayerはアドビシステムズのWebサイトで無償ダウンロードできます)。つまり,ブラウザ上で動きのあるコンテンツ作りたかったら,Flashがあれば一通りのことができるというわけですね。さらにFlashムービーは,ブラウザ上だけでなく,独立したFlashムービー再生環境であるスタンドアロン・プレーヤーや,携帯電話でも再生・実行できます。

 実際に筆者の周りでFlashを使っている方を見回すと,「アニメーション・ゲーム作成ツールとして使っている人」と,「アプリケーションのインタフェースとして使っている人」の2種類の人にはっきり分かれます。筆者は仕事では後者。趣味では前者といった感じです。また,後者のケースでは,Webアプリケーション用Flashムービー作成に特化した「Flex」という商品ラインナップも用意されています(http://www.macromedia.com/jp/software/flex/)。アニメーション作成に興味がない方はこちらを検討してみるほうが良いかもしれませんね。

 実はFlashでは,Flashムービー形式だけではなく,avi,mpegといったビデオ画像や,jpeg,gif(アニメーションgifを含む),png,epsといった静止画像,emf,wmfといったメタファイルなど,作成したコンテンツを様々なファイル形式で出力できます。筆者はこの機能を利用して,パワーポイント代わりのプレゼンテーション資料作成のほか,GIFアニメーション素材の作成,Microsoft Officeで利用できるオートシェイプ(メタファイル)作成,雑誌に掲載する原稿の作成*1,さらには友人の結婚式用の某クイズ番組風ムービー*2の作成,甥っ子ビデオのテロップ・絵・効果音の作成,などなど,いろいろなことに使い倒しています。


*1 レイヤーを利用した引き出し線の作成や説明の追加が楽であり,テキストが簡単に取り出せるので図に対する説明,いわゆる「エトキ」を作るのが楽なのです。
*2 デジタル・ビデオであらかじめ関係者のコメントを撮影したものをFlashに取り込んで,スクリプト(後の連載で説明します)を使ってクイズ風に仕立てて,ノート・パソコンとプロジェクタを使って会場で“上映”しました。