写真1 Emacsの起動画面
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写真2 Fileプルダウン・メニュー
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写真3 マウス・カーソルをアイコン上に置くと簡単な説明が英語で表示される
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図1 「sample.txt」を指定してEmacsを立ち上げた直後のモード行
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表1 OSによる改行コードの違い
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表2 よく利用される主モードの内容
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写真4 エコー領域に表示されたメッセージ
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 「インストールしてみたけど,使い方が分からず途方に暮れた」「本を読んだけど,難しくて理解できなかった」「操作手順だけでなく,基本的な仕組みを知りたい」...。こうした意見にこたえるため,“Linuxの基本”を説明するコラムが復活しました。実際にLinuxを操作しながら,基本操作と仕組みに関する知識を身に付けましょう。

 「vim」と並んで,UNIX系OS上で使う高機能*1エディタとして定番なのが,GNU Projectが配布する「Emacs」です。

 EmacsはGNU GPLに従って配布されるソフトであることから,Emacsから派生したソフト,例えばXEmacs*2なども存在します。XEmacsは配布された当初からGUIに対応しています。また国際化機能も充実しており,メニュー・バーの日本語表示なども可能です。今では,EmacsもGUIや国際化に対応しているため,EmacsとXEmacsのいずれを使ってもあまり違いはありません。基本的な操作方法も同じです。

 また,軽快に動作するEmacsライクな日本語エディタ「Ng」もあります。例えば,低スペックPCで使うには,EmacsよりもNgの方がお勧めです。

早速,Emacsを起動しよう

 Fedora Core 3およびVine Linux 3.1(3.2も同じです)のEmacsはバージョン21です。バージョン21では,ツール・バーが使えますので,Windowsでの操作に慣れ親しんだユーザーでも,それほど違和感はなく使えると思います。ただし,メニューは英語表示になります(3.2は日本語です)。Emacsのコマンド名は「emacs」です。端末エミュレータのプロンプトに「emacs」と入力して,Emacsを立ち上げてみましょう*3。ちなみに,Vine Linuxでは,「アプリケーション」→「アクセサリ」→「emacs Editor」とメニューから指定しても起動できます。

 起動画面(写真1[拡大表示])から分かるように,スクロール・バーは左側または右側に表示されています。起動画面には,Emacsのロゴと,「EmacsはLinuxをベースとしたGNUシステムのコンポーネントであり,メニュー・バーとスクロール・バーを使えば基本的なテキスト編集が可能である」旨のメッセージが表示されます。

 ヘルプ・メニューの項目として「チュートリアル」,「FAQ」,「GPLのポリシー」,「マニュアルの入手方法」などが表示されています。実は,ヘルプ・メニュー項目はこれだけではなく,しばらく待っていると次の項目(「Emacsの終了方法」,「ファイルの修復方法」)も表示されます。さらにそのまま待っていると,画面表示が切り替わります。ただし,この画面は英語のコメント文から分かるように,一般的なテキスト編集を行う画面ではありません。

 写真1全体をEmacsの「フレーム」と呼びます。フレーム内に複数のウインドウ(これが編集画面となります)を表示できますが,起動しただけではフレーム内には1つのウインドウだけが表示されます。

バッファ=作業中のファイル

 Emacsでは,入力あるいは編集しているテキストを「バッファ」と呼びます。複数のバッファを同時に開いて編集することもできます。バッファのサイズや個数には,原則的に制限はありません。バッファの名前は通常,テキスト・ファイルの名前と同じです。例えば,「sample.text」という名前のテキスト・ファイルを編集しているときにはバッファの名前も「sample.text」になります。

メニュー・バーとツール・バー

 Emacsのメニュー・バーとツール・バーについては,説明の必要はないと思います。メニュー・バーの項目にはEmacsの基本的な操作が含まれています。例えば,新規作成するファイル名「sample.text」を指定してEmacsを立ち上げた直後のメニュー・バーから,左端のFileのプルダウン・メニューを表示した画面を写真2に示します。写真2[拡大表示])で半透明色となっているメニュー(例えば「Save(current buffer)」は,その時点では選択できないコマンドです。

 では,新たにテキスト・ファイル「sample.text」を作成するために,次のようにEmacsを起動してみましょう。

ファイル名の拡張子を「text」としたことにより,テキストの入力/編集画面が表示されます*4

 ツール・バーについては,そのアイコンから機能が分かると思いますが,マウス・カーソルをアイコン上におくと簡単な説明が英語で表示されます。例えば,左端のアイコンでは写真3[拡大表示]のように表示され,バッファにファイルを読み込むためのアイコンであることが分かります。メニュー・バーと同様に半透明になっているアイコンは,その時点では選択できないものです。