CTOのRattner氏
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命令当たりの電力消費効率が向上
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マルチコアにより,同等の消費電力で処理性能を高める
マルチコアにより,同等の消費電力で処理性能を高める
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Pat Gelsinger氏
Pat Gelsinger氏
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 米Intel Corp.が主催する開発者向け会議「Intel Developer Forum Spring 2006(IDF)」が米国時間の2006年3月7日から,米カリフォルニア州サンフランシスコで開幕した。

 初日の基調講演のトップバッターとして壇上に立った同社CTOでSenior FellowのJustin Rattner氏は,「Energy=The Next Frontier」と題した講演を行い,エネルギー消費削減のため,マイクロプロセサの効率性を高めていく手法について述べた。「サーバであれ,デスクトップ・パソコンであれ,ノート・パソコンだろうと,パフォーマンスとエネルギー消費量のバランスを取ることの重要性は増す一方だ」(CTOのRattner氏)。

 同氏はマイクロプロセサの処理性能と電力消費量のバランスをとるためのキーワードとして4つを挙げた。それは,同社の次世代マイクロアーキテクチャ,マルチコア,マルチスレッド,そしてプラットフォームである。まず次世代マイクロアーキテクチャに関しては,命令当たりの消費電力のパフォーマンスが劇的に改善していることを示した。例えば2005年に出荷したPentium4では1命令当たりの電力消費量が約50nJだったものが,次世代マイクロアーキテクチャを導入した2006年の「Core Duo」では約10nJと,1/4以下に抑えられているという。これにより「モバイル向けのデュアル・コアのマイクロプロセサであるMeromでは,従来品と比較して性能は20%上昇しながら消費電力は同等である。デスクトップ・パソコン向けのConroeでは,性能が40%高まり,消費電力は40%減少している。さらにサーバ機向けのWoodcrestでは,性能が80%上昇しながら,消費電力は35%減少している」(CTOのRattner氏)と,大きな改善効果があることを強調した。

 このほかマルチコアによる改善効果としては,1つのコア当たりのクロック周波数を落とすことで消費電力を削減できることを示した。さらにマルチスレッド対応のソフトウエアの開発促進を目指していること,さらにマイクロプロセサだけでなく周辺回路の含めたプラットフォームでの電力消費量削減が重要になるという見方を示した。

 初日の基調講演の2番目に登壇した同社Digital Enterprise GroupのSenior Vice PresidentであるPat Gelsinger氏も,オフィス環境でのエネルギー効率を高める手法として,同社が推進するシステムの仮想化技術「Virtualization Technologies(VT)」の重要性について語った。IDFは米国時間の2006年3月9日まで開催する予定。

(蓬田 宏樹=日経エレクトロニクス)