図1●QEMUを利用し,Windows 2000上でMona OSと別のWindows 2000を動作させているところ
図1●QEMUを利用し,Windows 2000上でMona OSと別のWindows 2000を動作させているところ
[画像のクリックで拡大表示]

 QEMUは,仮想マシンにOSをインストールしてデスクトップ上で起動できるようにするソフトウエアです(図1[拡大表示])。Virtual PC(開発元:米Microsoft)やVMware(開発元:米VMware)などのオープンソース版と考えればわかりやすいかもしれません。正確には,x86に加え,PowerPCやSPARC,ARMといったCPUのエミュレーション機能も持っており,エミュレートするCPUに応じた実行パッケージが用意されています。

 QEMU自身が動作するプラットフォームも多彩です。Windowsに加え,Linux,FreeBSD,さらにはMac OS Xでも動作します。Windows版は「QEMU on Windows」(http://www.h7.dion.ne.jp/~qemu-win/index-ja.html)というサイトからダウンロードできます。また,国産のフリーOSであるMona OSは,Windows上で動かすための簡易実行環境としてQEMUを採用しています。

 使い方はマニュアルの日本語訳サイト(http://www.h7.dion.ne.jp/~qemu-win/qemu-doc-ja.html)が参考になります。QEMUには小さなLinuxのイメージが付属していますが,自分で仮想ディスクを作ってOSをインストールすることもできます。仮想ディスクのイメージを作成するには,「qemu-img」というコマンドを使います。様々な形式の仮想ディスクを作成できますが,お勧めはVMware用の仮想ディスク(拡張子はvmdk)。大容量の仮想ディスクを作成しても,実際に消費するディスク容量は,含まれるファイルに応じた容量で済むからです。インストールやOS起動のためのバッチ・ファイルは,あらかじめ用意されている「qemu-win.bat」を必要に応じて書き換えて作るとよいでしょう。

 ただ,QEMUはエミュレータとしてはあまり高速ではなく,仮想マシンのハードウエア・スペックも貧弱です。こうした面は商用ソフトであるVMwareのほうが優れています。そこで,QEMUは仮想ディスク・イメージを作成するツールとしてのみ利用し,仮想OSの実行環境としては米VMwareが無償で提供している「VMware Player」を使う,という方法があります。ただし,VMwareの設定ファイル(拡張子はvmx)を自分で記述する必要があります。詳しい方法は「Weboo! Returns.」(http://yamashita.dyndns.org/blog/343)というブログで解説されています。ちなみに米VMwareは2006年2月6日,VMwareのサーバー版である「VMware Server」のベータ版を無償で公開しました。正式版も無償で提供される予定です。ただ,ライセンスなどの問題を考えると,オープンソースのQEMUの存在意義がなくなることはないでしょう。


QEMU
ジャンル:CPUエミュレータ
開発:オープンソース
URL:http://fabrice.bellard.free.fr/qemu/