図:セントレアのWebサイトでは、NORENの機能を使ってコンテンツのバリエーション生成を効率的に行っている
図:セントレアのWebサイトでは、NORENの機能を使ってコンテンツのバリエーション生成を効率的に行っている
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コンテンツ最終承認は広報部門が一括

 セントレアWebサイトの運用面での大きな特徴は、担当業者に“丸投げ”するのでなく、「CMSを軸にセントレアのスタッフが積極的かつ主体的に関わっている」(新保氏)ことだと言えます。

 NORENを介して行われているセントレアWebサイトの運用ワークフロー体制は、総合的な情報を扱うとともにWebマスター役となる広報を始め、システム面を運用するセクションや、旅客案内情報、店舗情報、施設情報、店舗情報などを取り扱う各セクションを合わせて、計7つのセクションのスタッフから構成されています。このスタッフは、情報作成者が30人、その上位承認者が15人、最終承認プロセスに携わる5人の、総勢50人に上ります。さらに今後は、施設内の各店舗のコンテンツの情報作成を店舗側で行えるようにしていきたいという課題もあるそうです。

 このように、それぞれ異なる作業範囲と権限を持った多くの関係者が、同時並行的に日常の更新作業を行っているため、きめ細かいユーザー管理ができるCMSの存在が肝要であることは言うまでもありません。しかし、実際の現場で重要なのは、システムだけでなく、実情に合った明確な運用ルールを作成し、なるべく“例外処理”を発生させないようにすることです。このことが、効率と質を上げ、リスクを軽減するための大きな鍵となります。

 セントレアWebサイトでは、すべての記事の承認プロセスを広報セクションが一括してNORENを介し、行うというルールが基本となっています。この承認プロセスを軸に、各関係者の権限の設定とワークフローが構成されています。これにより、内容の正確さと“トーン&マナー”の一貫性が保たれるわけです。

 セントレアWebサイトはオープンから半年以上が経過していますが、「コンテンツの運用管理に関しては特にトラブルがなかった」(新保氏)のも、こうしたルール作りと、それに基づくCMSを軸にした体制作りが成功したからだと言えるでしょう。


星野 純 (ほしの じゅん) ■ 主にデザインやトレンドに関する市場調査などを行う日本カラーデザイン研究所で、ソフトウェア開発や企業向け情報資料の編集に従事。ちょうどそのころ、一般に開放されたばかりのインターネットと出会い、衝撃を受ける。「今この『デジタル革命』に立ち会わないでどうする!」と思い立ち、日経BP社で記者としてインターネットとデジタルパブリッシングを追いかける生活に転身。その後、Webプロダクション「WebBakers(ウェブベイカーズ)」を設立してWeb制作の現場に。以来、「CMSを使って、最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを」を標榜しつつ活動中。