ネットワンシステムズ
応用技術本部第5技術部部長
延坂 成人 ネットワンシステムズ
応用技術本部第5技術部部長
延坂 成人


あるユーザー企業で、「保留ができない」という障害が発生した。着信応答し自己保留やパーク保留しようとしても保留できない。加えて転送もできないという問題もあった。原因は単純なものであったが、解決まで結構時間がかかった。あとで考えてみれば、もっと早く解決できることであった。

 IP電話を導入したユーザー企業から、「保留ができない」という一報が入った。加えて、転送もできないという。まったく保留できないわけではなく、たまに発生するというという厄介な障害であった。障害がいつ起こるかわからないこともあり、原因の究明から対処まで、1カ月以上かかった。障害状況やネットワークの把握などの重要性を再認識された事例であった。

“ときどき”障害発生

 そのユーザー企業に導入したIP電話システムは、一般的なよくある構成であった(図1)。本社と各事業所をイントラネットで結び、内線IP電話網を構築。IP-PBXなどの障害時に備えて、非常時用に加入電話網とも接続している。

図1 ユーザーのIP電話システムの構成
図1 ユーザーのIP電話システムの構成

 障害の連絡は、カットオーバー後にある事業所から入った。「保留ボタンを押しても外線の呼を保留できない」というものだ。受けた電話機側で保留する「自己保留」、ほかの人に回すためにPBX側にいったん預ける「パーク保留」のいずれの場合でも“保留できない”という障害が発生したという。

 ネットワンシステム側のヘルプデスクでは、外線の呼で発着信ともに同じ症状が発生するのかを確認したが、すべてではないらしい。

 念のために、ユーザーの実システム上で再現テストを実施した。障害のあった拠点グループにテスト用IP電話端末を追加設定して、大きく次の三つを調べてみた。

(1)本社サイドで発着信での保留(自己保留・パーク保留)
(2)事業所間をまたいだ場合
(3)IP-PBX側でのログ上

いずれも問題がなかった。再度、障害申告者に確認したが、その後は問題ないとのことで様子見とした。