HTMLの基本を勉強し,インターネット・プロバイダとの契約を終えたら,自分のWebサイトを立ち上げてみましょう。Webサイトに掲載する内容は基本的に個人の自由です。自分が現在興味を持っていることや,趣味のことなどを取り上げるのもよいでしょう。

 しかし,ここで気をつけなければならないことがあります。それは,サイトのデータをWebサーバーにアップした時点で,それは世界中からアクセス可能になるということです。自分で小冊子などを手作りして,家族や親しい知人に見せるのとはわけが違います。そこにはおのずと,守らなければならないことが出てきます。公序良俗に反するような内容を掲載してはいけないのは当然ですし,普通に生活していたのではあまり意識しないことにも気を配る必要があります。中でも著作権については,個人や家庭内で楽しんでいるときと同じような感覚でいたのでは,法律に違反してしまうことがあります。

 著作権とは,小説,音楽,絵画,写真などの「著作物」を創作した人である「著作者」が所有する権利のことです。著作権法では,著作権が侵害されないように,様々な規定を設けています。そして,これらの規定に違反した場合,「3年以下の懲役,又は300万円以下の罰金」を課す,とあります。

 例えば,自分が買ってきた音楽CDを,MDなどにダビングして聴いている人は多いと思います。家族や特に親しい人を集めて自宅でパーティを開いて,自分のお気に入りの楽曲を集めたMDをかけるといったこともよくあるでしょう。その際に,お気に入りのタレントの写真集を見せ合うということもあるかもしれません。

 しかし,同じようなことをWebサイトで行えば,著作権法違反になります。例えば,お気に入りのアーティストの楽曲をmp3形式のファイルにしてサイトにアップし,訪れた人が聴けるようにすること,お気に入りのタレントの写真をスキャナーで読み込んでデジタルの画像データに変換してサイトにアップすること,これらはいずれも著作権法で禁じられている行為です。ではなぜ先ほどの,自宅でのパーティは問題がないのでしょうか。それは,著作権法で明示的に,著作物を「個人的に又は家庭内その他これに順ずる限られた範囲内において使用すること」は「私的使用」として著作権法の適用外と記載されているからなのです。世界中からアクセス可能なサイトはもちろん私的使用にはあたりませんから,著作権法の適用対象になるのです。

 自分がお金を出して購入した音楽CDや写真集だから,自分に権利がある,と思っている人がいるかもしれません。しかし,それは間違いです。著作物を創作するのには一般に,大変な苦労や費用がかかります。それを勝手に複製してばら撒かれたのでは,著作者の生活が成り立たなくなってしまいます。そうしたことがまかり通ったのでは,著作物を創作することが困難になり,やがてはお気に入りのアーティストの新曲も聴けなくなってしまうでしょう。著作権は著作者の権利を保護するための法律ですが,ひいては著作物の受け取り手のためにもなるのです。

 以下では,Webサイト運営歴10年の「権四郎(けんしろう)」さんと,彼の後輩で最近サイトを立ち上げた「(まもる)」さんの会話形式で,著作権に関して最低限知っておいていただきたいことを紹介します。最後には著作権法の抜粋を掲載しておきますから,興味を覚えたら目を通してみてください。なお,法律の判断は状況によって異なります。以下の会話での説明が,どんな場合にも適用されるわけではありませんから,注意してください。著作権について詳しく知りたい人は以下のサイトが参考になります。

文化庁:http://www.bunka.go.jp/
社団法人 著作権情報センター:http://www.cric.or.jp/
社団法人 日本音楽著作権協会:http://www.jasrac.or.jp/
コンピュータソフトウェア著作権協会:http://www.accsjp.or.jp/
コンピュータソフトウェア著作権協会,著作権・プライバシー相談室:http://www.askaccs.ne.jp/