「US-VISIT」プログラムは,米国に入国する外国人から指紋を採取し,その行動を監視する制度だ。先ごろ,この制度の展開状況について触れた記事を読んだ。その中では,最終段落が一番興味深かった。

 「2004年1月以来,US-VISITは4400万人以上の入国者を扱った。米国土安全保障省(DHS)のプレスリリースによると,1000人弱の犯罪者や不法入国者を見つけて逮捕したという」

 私は2004年にUS-VISITを取り上げ,「コストが高過ぎて,悪いトレードオフになっている」と書いた。(その記事で書いたように)「次の段階(the next phase)」に必要なコストは150億ドルだった。総コストがそれをはるかに上回ることは間違いない。

 一応,ここでは150億ドルとしておこう。US-VISITは1000人の犯罪者を捕まえた。そのほとんどは凶悪犯でなかった。悪人を1人拘束するのに1500万ドルかかったことになる。

 悪人を捕まえる方法には,もっと経済的なやり方があるはずだ。

http://fcw.com/article91831-12-30-05-Web

私の過去記事:
http://www.schneier.com/essay-072.html

Copyright (c) 2006 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事「The Failure of US-VISIT」
「CRYPTO-GRAM February 15, 2006」
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。