写真9 ログアウトの画面
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写真10 visudoコマンドでの編集画面
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ログアウトとシャットダウン

 ユーザーがシステムの利用を終えるときには,ログアウトを実行します。ログアウトを行わないと,他人に勝手にシステムを使われてしまう危険があります。

 ログアウト後にシステムを完全に停止して,コンピュータの電源を切る場合にはシャットダウンという手順が必要になります。この作業は通常,システムの管理者が行うものですので,シャットダウンを実行するためにはroot権限の取得が必要になります。

 シャットダウンを実行すると,最近のパソコンの多くでは,シャットダウン・メッセージを出力した後に自動的に電源が切れます。自動的に電源が切れない機種では,シャットダウンを実行して

のメッセージが出力されたら,パソコンの主電源を切ります。具体的なシャットダウン方法は次の通りです。

●グラフィカル・ログインの場合

 グラフィカル・ログインを行っている場合には,デスクトップの「アクション」→「ログアウト」を選択します(写真9[拡大表示])。写真から分かるように,「ログアウト」「シャットダウン」「コンピュータを再起動」の3通りのアクションがありますので,実行したいものを1つ選択して,「OK」ボタンをクリックします。

●テキスト・ログインの場合

 テキスト・ログインをしている場合のログアウトは,「logout」あるいは「exit」コマンドを実行します。

 シャットダウンは一般ユーザー権限では実行できません*10。rootユーザーでログインし,「shutdown -h now」を実行します。再起動の場合は,「shutdown -r now」です。

 ただしFedora Core 3には,一般ユーザー権限でシステムの停止と再起動が実行できるコマンドがありますし*11,Vine Linux 3.1ではデフォルトで一般ユーザーがshutdownコマンドを実行できます。

 システムの停止は「halt」コマンド,再起動は「reboot」コマンドです。haltコマンドでシステムを停止した場合も,シャットダウンと同様に自動的に電源が切れないことがあります。その場合は,以下のメッセージ出力を確認してから,パソコンの主電源を切ります。

rootと一般ユーザーを使い分ける

 テキスト・ログインの場合,シャットダウンは一般ユーザーでは実行できません。そうはいっても,システム停止時に毎回rootユーザーでログインし直すのは面倒です。そこで一般ユーザーでログインしたまま,root権限を利用できるようにするコマンドが用意されています。「su」および「sudo」コマンドです。

●suコマンドを使う

 suコマンドはシステム管理者だけでなく,別の一般ユーザーにもなれるコマンドですが(もちろん,パスワードを知っている場合にです),ここではrootユーザーに限定して説明します。suコマンドを実行すると,rootユーザーのパスワード入力を求めてきます。正しいパスワードを入力するとroot権限を取得でき,rootユーザーしか使えないコマンドが利用できるようになります。

個人でパソコンを利用している場合には,普段は一般ユーザーとして利用し,システム管理を行うときのみsuコマンドを使ってroot権限を取得することになります。

 逆に,root権限から一般ユーザー権限に戻るときは,ログアウトやプロセスを終了するための「exit」コマンドを使います。具体的には,

を実行します。すると,プロンプトが「#」から「$」に代わり,一般ユーザー権限に戻ります。

 Vine Linux 3.1では,「アプリケーション」→「システム・ツール」→「Rootターミナル(Gksu)」を選択し,rootユーザーのパスワードを正しく入力すると,root権限で端末エミュレータが開きます。このウインドウ内ではすべての操作をroot権限で実行することになります。

●sudoコマンドを使う

 sudoコマンドを使っても,他のユーザー権限でコマンドを実行できます。sudoコマンドの場合は,suコマンドのようにいったん他のユーザーになってからコマンドを実行するのではなく,sudoコマンドの実行と同時に他のユーザーになりすましてコマンドを実行できるので便利です。

 ただし,sudoコマンドを使う場合は,別途設定が必要になります。sudoでは,一般ユーザーごとにあらかじめ許可しておいたコマンドのみをroot権限で実行できます。

 例えば,一般ユーザーjunに自マシンからのみのシャットダウンの実行を許可するには,rootユーザーで「visudo」コマンドを実行して設定します*12。このvisudoコマンドで開いた画面(写真10[拡大表示])は,viエディタと同様に操作できます。

 具体的には次の行を追加します。

ここで,「snowbird」はホスト名であり,ホスト名が未指定の場合は「localhost」とします。

 これで,一般ユーザーjunがシャットダウンを実行したい場合には,

と入力します。

 すると,パスワードの入力を求めてきます。ここでは,junのパスワードを入力します。rootユーザーのパスワードではないことに注意してください。

 実はsudoコマンドには,ここで紹介したようにroot権限(の一部あるいはすべて)を一般ユーザーに与えるときに,rootユーザーのパスワードを一般ユーザーに教えなくて済むというメリットがあります。そのため,用途によってはsuコマンドよりも使い勝手が良いと言えるでしょう。

 ユーザーのパスワードを入力しなくても実行できる方法もあります。それには,visudoコマンドで編集画面を開いて,以下のように追加します。

この設定が有効になると,junのパスワードを入力しなくてもシャットダウンできます。