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 台湾文化の中心は美術館でも博物館でもない。その中心は誠品書店。本が売れなくなり書店の経営が難しくなったのは、洋の東西を問わず同じだが、書店からショッピングモール兼文化センターへ、と変身して昼夜を問わず若者がむらがる。英語、日本語などの書物も充実し、書籍量が豊富なのは当然だが、専門コーナーが違えば、書棚のレイアウトも変わるインテリアデザインが、書籍と書籍の谷間をさまよう客の疲れを忘れさせる。

 しかも立ち読み歓迎をはるかに超えて、椅子が置いてあり、広間があり、なお子供専用の寝転び歓迎スペースさえある。靴を脱いで、というところはほほえましいが、親子が仲良く気に入った本を棚から取り出して、ゆっくりと自宅の座敷にいるような雰囲気で本に読みふける風景があるのは新鮮だ。

 図書館ではない。新刊書を販売する店がここまで市民に読書の楽しさを伝えようとする姿勢にだれもが感心する。台湾に友人がいれば、必ずこの書店に連れてゆかれるだろう。どんな都市にもないこの書店を若者が胸をはって外国人に紹介する名所でさえある。