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 放置自転車やバイクが我が物顔に道路を占拠しているのはアジア特有の景色だろう。日本では罰金を払ってまで撤去された自転車を引き取りにゆく気になれない、という。低価格化した自転車の功罪のうち罪のほう。愛着のあるモノなら使えなくなっても、なんとか手元に置きたくなる。

 パリの中心、サンルイ島に停まっていた籐の3輪車。鉄でなければならない構造部分はさすがに籐の皮で巻いてあるだけだが、荷重がかからない部品はすべて籐でできている。チョット近くまでお使いに、が似合う。いや荷台と篭のデザインから推測すれば配達用かもしれない。この藤の自転車はデザイナー自身が改造したのでは、と思わせる部分もある。

 すでにある古典的な形を利用しながら、それを新しい衣で包んだのはオランダのドローグデザインの仲間だった。彼等は自らの工房で加工まで作業を拡大して、量産にない魅力のある製品を提案し、結果的にそれらは優れたエコプロダクツになった。

 籐の3輪車もドローグに似た手法だ。すべてを新しくしなくてもいい、素材の新提案だけでも魅力は増す。