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 エコ先進国ドイツとフランス国境に近い駅で自転車通学の女性が列車から降りてくるのを見つけて追いかけた。これだったら駅前や周辺を埋め尽す不法駐車はないだろう、と思ったからだ。その駅の設備は予想以上に簡単だった。登り降りする階段の左右の端に溝が切ってある。ちょうど自転車のタイヤより少し広い巾で。女性はその溝に車輪を落として、自転車をささえながら階段をゆっくり降りていった。自転車のまま列車に乗り込み許可の歴史が長いスイスでは専用改札口があったり、エレベーターなどで便宜をはかっている駅もあるが、ここでは階段に溝だけ。力も足元もしっかりしている人間にしか利用できないだろう。

 だが駐輪場をつくるより、自転車に乗ったまま列車を利用できれば、ドアからドアまでの自動車と同じくらい便利になる。地方の高校生の通学などには有望だ。公共交通の利用は乗り継ぎがいかに便利かにもかかっている。北海道ではそのままレイルの上を走るバスが開発されたばかりだ。自転車といっしょに列車で移動する。そのための自転車と列車、駅舎などインフラのデザインはこれからの課題だ。