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 タクシーと文字がみえるタンデム。二人乗りの自転車はパリ観光客のための乗り物。赤のベレーと赤のチョッキのお兄さんがのんびり客待ちをしている。こんな風景を見るのは夏のパリのノートルダム寺院近く。タクシーといってもどこにでも行ってくれるわけではない。パリ名所めぐりが主たる役割。観光客の心を引こうと名所には様々な移動の仕掛けがある。馬車、飾り付き路面電車などは古典的だが、タンデムは珍しい。どうやらニューヨークの真似というが、運転手を希望した脚自慢は若い失業者だった。

 ツールドフランスという自転車競技が国民的な祭りであるフランスでは公営の貸し自転車が観光地にもあり、ガイドつきで2時間ほどかけて市内をめぐる観光プランが人気だ。そこにタクシーと名乗るタンデム。パリの公共の色「緑」に赤のアクセントカラーで制服と旗をデザインし、ウキウキした乗客の心を映す演出に事欠かない。先進諸国はモノの生産社会から観光というサービス産業社会に変化する。サービスのデザインとは何かにヒントを与えてくれるタンデムでもある。