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 野菜を栽培している農家が、ある日割烹料理の店をはじめたら驚くが、料理店に納めていた原料で自ら料理を作りたくなるのは理解できる。エビアンは良く似た事業に挑戦した。

 押し潰してゴミを減量するエコパッケージのデザインで脚光を浴びたエビアンが化粧品の世界に参入したのは2002年。それまで化粧品専門メーカーにアルプス山中から汲み上げた水を販売してきた経験を生かして、自らブルターニュ地方で化粧水を生産し始めたのだ。

 健康にはミネラル成分の豊かな水が良い、とキャンペーンしてきたエビアンが提供する化粧品は量販店向け。その戦略はアルプス山系の姿をパッケージに描く、という水で獲得してきたイメージを化粧品にも使うことだった。

 だが、それだけではない。量販店での汚れ防止に、ボトルに袋をかぶせた。高級なブランドイメージとはほど遠いが、このカジュアルな袋もタダの袋ではない。上にファスナーが付き、旅行に便利な小物入れとしてリユースしよう、とエコを訴えるところもエビアンらしいパッケージだ。