無線LAN機能を持つパソコンやPDA(携帯情報端末)を使って,カフェやホテル,街角などからインターネットに接続できるサービス。それが公衆無線LANサービスだ。

 この数年,ファストフード・チェーン店の店内や,JRや地下鉄の駅の構内といった人が集まるところを中心に,サービスを利用できるエリアが増えてきた。また,2005年12月1日にライブドアが都内の一部地域で始めた「livedoor wireless」は,電柱にアクセス・ポイントを設置し,公園や路上でもインターネットを利用できるようにしている。いずれのサービスもスループットは3M~5Mビット/秒と,PHSや携帯電話に比べてかなり速い。外出先でメールをチェックしたり,大容量のデータを送受信したりするのに便利だ。

 公衆無線LANサービスは,標準規格に基づく無線LANを使ってインターネットにつなぐという点で,家庭でインターネット接続に無線LANを使うのと変わらない。ただ,ユーザー認証やセキュリティ対策など,さまざまな部分で“公衆”サービスならではの工夫が加えられている。同じエリア内にあるほかのパソコンからの不正アクセスや盗聴を防ぎ,各ユーザーが快適かつ安全にインターネットを利用できるようにするためだ。

 この特集では公衆無線LANサービスのしくみと使い方を解説する。まず前半でサービスのしくみを見る。各事業者がこらしている工夫の数々がわかるだろう。

 また,これらのしくみをひも解いていくと,実際に公衆無線LANサービスを使う場合の注意点も見えてくる。後半は,それらを踏まえた使い方のポイントを紹介する。


CONTENTS

プロローグ
接続手順とインフラからサービスの全体像を把握

第一部 しくみ編
サービスごとに異なる工夫,標準外の技術も積極的に活用

  • ポイント1 : セキュリティ対策
  • ポイント2 : ユーザー認証
  • ポイント3 : IPアドレスの種類
  • ポイント4 : インターネット接続経路
  • ポイント5 : AP共用で電波節約
  • 第二部 使い方編
    自宅の無線LANより危険,パソコンの設定を再確認

  • ノウハウ1 : 共有設定を切る
  • ノウハウ2 : PFWは必ず設定
  • ノウハウ3 : 接続時間は最小限に
  • ノウハウ4 : 切り替えツールを活用
  • 別掲記事
    おもなサービスの特徴---エリアや料金に差

    実験コーナー
    事業者共用のアクセス・ポイントはどう見える?