あるWebサイトがどれだけ多くの人に見られたかは,そのサイトに設置されたアクセス・カウンタを見ればわかります。アクセス・カウンタは企業のサイトではあまり見かけませんが,個人のWebサイトではよく利用されています。もちろん,アクセス・カウンタがないからといって,企業のWebサイトに何人の人がアクセスしたかわからないというわけではありません。企業でも,そのサイトがどれだけ見られたかを常に調べています。

 ここで問題になるのが,そのサイトがどれだけ見られたかを示す指標です。実際,「100万ページ・ビューを支えるサーバー」「10万ヒットおめでとう」などという言葉がよく使われていますが,このページ・ビューやヒット数とは何を表す数なのでしょうか。

ヒット数は画像などへのアクセスも含む

 WebブラウザがWebページを表示するには,まずWebブラウザがWebサーバーにHTTPというプロトコルでリクエストを送ります。Webサーバーはそれに答えてWebページの内容であるHTMLデータや画像データなどをWebブラウザに返信します。いろいろな指標のうち,ヒット数とは,このリクエストがWebサーバーに何回送られてきたかをカウントしたものです。

 Webサーバーには,どんなデータがリクエストされたかといった統計情報がログとして残ります。この数をカウントすればヒット数になります。

 ただ,このヒット数は,Webページの人気を反映するものとは言い切れません。それにはWebページの構造からくる理由があります。Webページには画像などが貼り込まれているのが普通です。例えば,29個の画像データが貼り込まれたWebページをブラウザが表示するには,元になるHTMLデータのリクエストのあとに画像データのリクエストが29回繰り返されます。つまり,1ページを表示するだけで合計30回のリクエストがWebサーバーに届くことになり,ヒット数も30になります。これでは,HTMLファイルだけのシンプルなWebページと画像などがふんだんに貼り込まれたページの人気を比べることはできません。

ページ・ビューは実際に表示された数

 より正しくWebサイトの人気度を測る指標として,最近ではページ・ビューという数値が利用されることが増えてきました。ページ・ビューとは,WebブラウザにそのWebページが何回表示されたかを示す値です。WebページがWebサーバーから読み出されて表示されたら1ページ・ビュー増えていくのです。

 Webサーバーに残ったログからHTMLデータのリクエストだけを取り出してカウントすれば,ページ・ビューになります。また,冒頭で紹介したアクセス・カウンタの数もページ・ビューと基本的には同じになるはずです。アクセス・カウンタは,WebページのHTMLデータがリクエストされるたびに数が一つ増えるしくみだからです。

 ただ,どんな数え方をしても,これらの数はWebサーバー側で操作できてしまいます。これでは,ページ・ビューの数値が本当に妥当なものかどうか判断できません。そこでページ・ビューを測定する専門の業者も登場してきました。テレビの視聴率調査のように第三者がページ・ビューを測定し,同じ測定方法で計測したほかのWebサイトとページ・ビューの比較ができるというものです。その測定方法は各社各様です。一部のユーザーに,どのWebページを表示したかを測定するソフトをインストールして調査し,その結果から推定値を計算する調査会社もあります。またWebページにスクリプトを組み込んで,Webブラウザに表示されるごとに集計サーバーにアクセスさせるなどといった方法で集計する会社もあります。